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<福島第1>トリチウム水処分 慎重論相次ぐ

 政府は11日、東京電力福島第1原発の汚染水の浄化後に残る放射性物質「トリチウム」を含んだ水の処分に関する小委員会の初会合を開いた。政府の別の検討会がまとめた海洋放出など五つの処分法について、委員の有識者からは「風評被害が懸念される」などと慎重な検討を求める意見が相次いだ。
 政府の担当者は、別の検討会が6月にまとめたトリチウム水の処分方法に関する技術的な評価結果を説明。海洋放出のほか、地層注入、蒸発などの処分案の概要を報告した。東電幹部も出席し、トリチウムが自然界にも存在することや、汚染水浄化後に残るトリチウムの濃度が低下傾向にあるデータを示した。
 政府などの説明に対し、関谷直也東大大学院特任准教授(災害情報学)は、地元の漁業者らが反発している海洋放出を念頭に「福島の漁業はまだ試験操業の段階で(海産物が)通常の物流ルートにのっていない。東北の漁業が特殊な状態にあることを認識すべきだ」と強い懸念を示した。
 小山良太福島大教授(農業経済学)も「全部(の処分方法が)風評になると思う。放射性物質をどうコントロールするのか、説明が重要になる」と強調した。
 東北放射線科学センター(仙台市)の高倉吉久理事は「外国で東北の海産物の輸入規制が続いている。風評の影響を考えると、委員会として結論を出すのは非常に難しい」と述べた。
 政府の検討会の報告書は、トリチウム水を薄めて海洋放出する方法が最も短期間に、低コストで処分できるとし、原子力規制委員会も海洋放出を求めている。小委員会は時期を区切らず、専門家らから意見を聴取した上で、適切な処分法の評価をまとめる予定。


2016年11月12日土曜日


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