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<農相失言>発信力回復極めて困難に

閣議後に記者会見する山本農相=2016年11月8日午前、農水省

 政府が環太平洋連携協定(TPP)関連法案の衆院通過に全力を挙げている時期に、なぜ同僚議員のパーティーに参加したのか。欠席は考えなかったのか。
 どうにもふに落ちなかった。8日の記者会見で渦中の山本有二農相に尋ねると、「大切な与党の仲間。たまたま出席する時間があった」との答えが返ってきた。

◎東京検分録

 TPPを巡る度重なる失言に与党内からも批判が上がる中、山本氏が所属する派閥の領袖(りょうしゅう)の石破茂前地方創生担当相は「(山本氏は)非常に疲れがたまっていた」と気遣いを見せたという。なるほど、永田町における仲間とはかくも大切な存在か。
 就任から3カ月。10日の衆院本会議で農相不信任決議の提案理由を説明した民進党議員が「朗読マシン」とやゆしたように、このところの山本氏は、国会や記者会見で官僚の作ったペーパーを読む姿が目に付く。
 就任直後は決してそうではなかった。「農業を若者が憧れる産業になるようにしたい」と、UIターンの若者向けの「農村住宅」を普及させる構想を記者会見などで披露し、事務方を慌てさせた。輸入米の売買同時入札(SBS)の「調整金」が報道で明らかになった際は「著しく市場価格に影響があり、これを受け取るのは問題」と語り、山本氏が実態解明の陣頭指揮を執ることに期待を抱かせた。
 国会でSBS問題とTPPを絡めた野党の追及が厳しくなるにつれて「国産米への影響はない」と繰り返し、手元にばかり視線を向けるようになった。記者会見でもその口調は弱々しく、農業の青写真を語る機会もめっきりなくなった。
 農業を巡っては安倍晋三首相や小泉進次郎自民党農林部会長が、成長産業化を実現しようと積極的な発言を続ける。うつむき加減で「職責を全うすべく、誠心誠意、職務に専念」とばかり繰り返す今の山本氏が、同じような発信力を取り戻すのは極めて困難と言わざるを得ない。(東京支社・小木曽崇)


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2016年11月13日日曜日


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