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<混迷の青森県都>雇用二の次 人口減加速

 鹿内博前市長の任期途中の辞職に伴う青森市長選は、告示まで1週間を切った。2007年に31万を超えていた市人口は29万余りとなり、全国ワーストクラスの減少に歯止めがかからない。前市長辞職の原因となった市の複合商業施設「アウガ」の経営破綻問題をはじめ、市庁舎建て替えやJR青森駅前周辺整備など、まちづくりの先行きが不透明なまま、中心市街地の衰退が進む。山積する県都の課題を探った。(青森総局・横川琴実)

◎青森市長選11月20日告示(下)縮む経済

<商工・労働費2%>
 「ねぶた祭がなければ迷わず青森を出て行く。住むメリットを他に感じない」。青森市内の高校3年生の男子は冷ややかに言う。
 2015年の住民基本台帳人口移動報告で全国5位の転出超過を記録した同市。ここ数年は年1000人規模で流出が進む。
 「人口減少を食い止めるには、若者が働く場を提供する必要があるが、企業支援を含む商工費や雇用に関わる労働費があまりに少ない」。市OBがため息をつく。
 青森市の本年度の商工費、労働費はそれぞれ約24億円と7600万円。合わせても一般会計予算額の2%程度にしかならず、秋田、山形など他の県庁所在市と比べて少なさが目に付く。
 市OBは「市の経済対策は、複合商業施設アウガなど中心市街地活性化がメインで、市民にとって大切な雇用や企業支援に重点を置いてこなかった」と話す。
 市は1990年代、「メイド・イン・あおもり」を掲げ、市の特産品販売と工業団地への企業誘致に力を入れてきた。青森市南部、西部の両工業団地は既に分譲を終え、19社が操業するが、2000年に造成された県の中核工業団地(青森市合子沢、野木地区)は現在も10区画以上が残る。
 1990年代の誘致企業の中心は製造業だったが、ここ数年は、物流業やコールセンターが多く、地域経済への波及効果は限定的だ。
 国の緊急雇用創出事業が2015年度で終了したため、本年度の労働費は前年度に比べ約4割減った。「雇用対策は県や国との連携があり、市独自の施策は難しい」と市の担当者は明かす。

<「外貨」獲得が鍵>
 青森商工会議所などが経済センサスなど各種調査に基づき、市の経済の現状と対応策をまとめた報告書は、青森市の経済活動の停滞を指摘する。
 12年の青森市の総生産は01年の8割程度に減少。八戸、弘前両市がほぼ横ばいなのに比べ、右肩下がりで落ち込んだ。雇用者報酬は減り、購買力の低下も進む。
 報告書の執筆担当者の1人で青森中央学院大の高山貢教授(地域経済学)は「総生産減少の大きな要因は小売業の不振が続いていること」とみる。
 高山教授は「青森市では宿泊業や製造業など『外貨』を稼ぐ産業の強化が求められる」と強調。「地元企業を応援し、若者に魅力を知ってもらう取り組みはもちろん、『外貨』獲得のため訪日外国人らを呼び込む観光政策に力を入れる必要がある」と主張する。


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2016年11月16日水曜日


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