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<絆つないで>横軸構想 震災を機に進展

今冬から通年通行が実現する国道347号=16日、宮城・山形県境の鍋越峠

 宮城、山形両県を結ぶ国道347号のうち、宮城県加美町と山形県尾花沢市境の鍋越峠を挟む17.7キロ区間の冬季閉鎖が今冬解消され、通年通行が実現する。冬季の通行可能時間は午前7時から午後7時までと制限付きながら、横軸交流の厚みは格段に増す。地域経済の活性化や防災面での連携強化に期待が高まる。(新庄支局・菅野俊太郎、加美支局・馬場崇)

◎国道347号通年通行(上)悲願

 「道路は年中通れてこそ意味がある。ようやくここまで来た」。尾花沢市の加藤国洋市長の感慨は深い。
 県境付近は有数の豪雪地帯で積雪が3〜4メートルに上ることもある。除雪が追い付かず雪崩の危険もあり、例年11月下旬から4月下旬まで通行止めになっていた。
 通年通行への道のりは平たんではなかった。絶対条件の道路改良は山形県側が1988年に完了したのに対し、宮城県側11.3キロは遅々として進まなかった。

<01年度一時休止>
 理由は加美町漆沢地区の筒砂子ダム建設の遅れだった。宮城県は84年、農業水利、洪水対策用として調査着手したものの財政難を理由に2001年度、事業を休止。ダム建設と一体だった道路整備は宙に浮いた。
 同地区の元行政区長高橋太治さん(74)は「遅れの原因は道路整備がダム建設予算に付随していたことに尽きる」と言い切る。
 半ば消えかけた道路整備計画は、東日本大震災をきっかけに息を吹き返す。
 震災直後、山形県側から支援物資を積んで被災地に向かう車両の多くが、鍋越峠の手前で引き返した。冬季閉鎖を知らなかったためで、国道47号や48号へ迂回(うかい)せざるを得なかった。
 防災ルート強化が必要と判断した宮城県は、手付かずだった未改良区間の整備に着手。休止状態のダム建設も一気に動きだした。

<災害に備え協定>
 中羽前街道で結ばれ、古来行き来のあった加美町と尾花沢市の交流は再び強まりつつある。13年に両市町は災害時相互応援協定を締結。今年10月には大崎市と山形県大石田町も加えた4市町の協定を結び、職員が互いの防災訓練に参加する態勢が整った。
 4市町は14年、「国道347号『絆』交流促進協議会」も結成しており、自治体の連携強化が進む。
 加美町の猪股洋文町長は「奥羽山脈を挟んだ宮城と山形が一度に災害に見舞われる可能性は小さい。近くで頼れる自治体と通年でつながることができる意義は大きい」と強調する。
 加藤市長も「347号は自動車産業などがある仙台北部中核工業団地(宮城県大和町、大衡村)と、輸出拡大を図る酒田港を最短距離で結ぶ。人や物、文化の行き来をより活発にしたい」と意気込む。
 奥羽山脈の東西の交流と連携が果たす役割は、通年通行で着実に重みを増す。

[国道347号]寒河江市を起点に山形県河北町、村山市、同県大石田町、尾花沢市、宮城県加美町を経て大崎市に至る。総延長約90キロ。3桁国道のため、両県が管理する。今年10月、県境の鍋越峠で山形県が調査した1日当たりの車両通行台数は上下線合わせ平日440台、休日1299台。


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2016年11月17日木曜日


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