広域のニュース

<絆つないで>冬場の誘客 期待高まる

イベントで新そばを振る舞う山形県大石田町と尾花沢、村山両市のそば店主ら。大勢の客が訪れた=10月22日、仙台市泉区の桂ガーデンプラザ

 宮城、山形両県を結ぶ国道347号のうち、宮城県加美町と山形県尾花沢市境の鍋越峠を挟む17.7キロ区間の冬季閉鎖が今冬解消され、通年通行が実現する。冬季の通行可能時間は午前7時から午後7時までと制限付きながら、横軸交流の厚みは格段に増す。地域経済の活性化や防災面での連携強化に期待が高まる。(新庄支局・菅野俊太郎、加美支局・馬場崇)

◎国道347号通年通行(中)交流

 10月22日、仙台市泉区の商業施設「桂ガーデンプラザ」の駐車場に人だかりができた。山形県大石田町と尾花沢、村山両市のそば店主らが、打ちたての新そばを振る舞うイベントを開催。国道347号の通年通行をPRしようと、北村山地域(大石田、尾花沢、村山、東根の4市町)のそば店などで使えるクーポンも配った。
 主催した、おくのほそ道最上川そば三街道協議会会長の佐藤和幸さん(55)は「新そばはこれからが本番。通年通行で夏だけでなく、冬も宮城の北部からお客さまに来てもらえるきっかけになる」と行列に目を細めた。

<県境を観光地に>
 通年通行を心待ちにするのは、温泉街も同じ。尾花沢市の銀山温泉組合長の木戸裕さん(39)は「雪を目当てにした海外からの客を除くと、冬場は全体として集客が落ち込む。アクセスが良くなり、日帰り観光でもこちらに来てもらえれば」と期待を隠さない。
 347号の通年通行で山形側は宮城県北部にとどまらず、岩手県南部まで視野に入れる。世界遺産「平泉の文化遺産」(岩手県平泉町)までは約2時間。例えば朝は日本三景の松島(宮城県松島町)、昼は平泉、宿泊は雪見の銀山温泉といった広域ルートが可能になるからだ。
 宮城側では、通年通行を契機に、両県境をアウトドアが売り物の観光地にしようと機運が盛り上がる。製造業も製品の輸送時間短縮を歓迎する。
 薬莱(やくらい)山を抱く宮城県加美町は、自転車やトレッキング、カヌーなどで自然や文化、歴史を体感できる自然観光ルート「ジャパンエコトラック」の認定を目指す。ルートには尾花沢市、大石田町も含む予定だ。
 エコトラックは、アウトドア用品大手「モンベル」(大阪市)などでつくる推進協議会が提唱。東北では既に山形県飯豊、小国両町が認定を受けている。
 10月24〜26日、モンベルの担当者が加美町と尾花沢市を視察した。347号が開通する以前の峠越えルート「最上街道」や銀山温泉などを見て回った。
 視察したモンベル広報部の真崎明弘課長代理は「冬場のアクセスが改善されることで、スノーシューや雪祭りといった遊びと温泉で観光客を呼び込める。347号を中心とした観光エリアを十分形成できる」と手応えを感じている。
 加美町は本年度内にもルートを策定し、認定を目指す考え。猪股洋文町長も「インバウンド(訪日外国人旅行者)を含む観光客増加につなげたい」と意気込む。

<営業地域拡大も>
 同町に東北工場がある金属加工の本橋製作所(川崎市)は、尾花沢市の電子機器メーカーと取引がある。これまで347号を通って週1、2回納品している。
 井上浩良工場長は「冬場は遠回りして国道47号を使うしかなく、片道2時間近くかかっていた。347号を通行できれば約1時間。かなり利便性が高まる」と歓迎する。
 通年通行による時間短縮は、企業のコスト削減、営業エリアの拡大につながる可能性も秘めている。


関連ページ: 広域 社会

2016年11月18日金曜日


先頭に戻る