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<杜の都のチャレン人>水環境の創造 協働で

「四ツ谷用水の持つ役割を、現代の街づくりに生かそうと訴えていきたい」と話す柴田さん=仙台市青葉区の大崎八幡宮

◎四ッ谷用水を生かした街づくりを提言する/柴田尚さん(70)

 大崎八幡宮(仙台市青葉区)の参道にかかる太鼓橋。欄干の下、コンクリートのふたで覆われた水路がうねりながら東へ延びる。「仙台藩主伊達政宗が建設を命じた四ツ谷用水です。1957年に地下水路化され、今も工業用水として利用されています」。土木学会が「土木遺産」と認めた現役の用水路を指さし、解説する。
 会長を務める「仙台・水の文化史研究会」は10月、江戸時代の仙台では用水が運び込んだ地下水が断層に沿ってたまり、地下で「ダム機能」を果たしていたことを突き止めて、関係者を驚かせた。
 「街をきれいにしたい」と、大学で土木工学を専攻。卒業後は東京の建設コンサルタント会社に就職し、技術者として都市の上下水道の設計に携わった。
 仙台との関わりは、85年の転勤がきっかけ。用水の存在を知ったのもちょうどその頃だ。「もう一つの広瀬川 四ツ谷用水のすべて」を著した研究会の佐藤昭典・前会長と出会った。同じ土木技術者でもある佐藤さんとの交流は続き、用水の魅力を深く探るようになっていった。
 藩制時代の仙台は、用水が供給する広瀬川の豊富な水と、地下に水を蓄える独特の地盤構造によって、屋敷林が生い茂る「杜の都」を形成していた。一方、現代の仙台は道路舗装と上下水道整備の進展により、地下への水供給が減少。地下水位は当時に比べ著しく低下している。
 会では、仙台市青葉区の西公園沿いに用水の支流を再生するよう提言する。「親水空間を創出し、一部は地下水となって災害時に利用可能です」と利点を強調する。
 藩制時代、用水は藩、町人、農家の受益3者が共同で管理した。理想的な水環境の創造には行政、企業、市民の協働が欠かせない。「用水と地下構造は仙台の財産。世界に誇れる緑豊かな都市をみんなでつくっていきたい」(や)

<しばた・たかし>46年愛知県岡崎市生まれ。信州大工学部卒。建設コンサルタントとして国内外の上下水道整備事業に取り組む。11年から仙台・水の文化史研究会会長。会員は約30人。市民向け講演会などを開催する。


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2016年11月19日土曜日


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