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<南スーダンPKO>停戦合意崩れ内戦状態

<いまい・たかき>1962年生まれ。2007〜10年にジュバ駐在。現在は日本国際ボランティアセンター・スーダン現地代表として、首都ハルツームに駐在中。

◎国際NGOの今井高樹氏に聞く

 駆け付け警護を任務付与された陸上自衛隊部隊が南スーダンへ出発する。9月に首都ジュバに入った非政府組織(NGO)日本国際ボランティアセンターの今井高樹氏に現地の状況を聞いた。
 キール大統領派とマシャール前第1副大統領を中心とする反政府勢力との間で起きた7月上旬の大規模戦闘後、避難民に食料などの支援をしようとジュバに赴いた。町の複数の場所で激しい戦闘があったことがうかがえた。大統領官邸の塀には無数の弾痕があり、バラック建ての商店や露天商が並んでいた市場は略奪が起きたそうで、無人になっていた。市内の反政府勢力の拠点付近も激戦があり、知人から「戦闘後、死体がごろごろ転がっていた」と聞いた。
 政府は国会答弁で「戦闘行為でなく衝突」と説明したというが、現地の人が聞いたらあきれるのではないか。300人などと報じられている死者数も、知人らの話を総合すると、千人は下らない。住人は戦車が行き交う様子も見ている。これが事実だ。
 ジュバは現在大統領派が掌握し、市街地ですぐに戦闘が始まる状態ではない。しかし中心部を少し離れると一触即発の緊張状態といえる地域もある。大統領派は避難民保護施設内に反政府勢力の幹部らが潜伏しているとの疑念から周辺の警戒を強め、敵意は施設防護をする国連平和維持活動(PKO)部隊にも向いている。さらに最近では新たな民族間の対立関係も激化している。
 このように南スーダンは非常に不安定な内戦状態にあり、PKO参加5原則のうち「紛争当事者間の停戦合意」は既に崩壊しているというのが正しい認識だ。武装グループの多くが政府や反政府勢力の影響下にある中で、自衛隊が駆け付け警護をすれば戦闘当事者になるリスクが高い。7月の戦闘の際は、政府軍兵士が外国人の援助関係者のいたホテルを襲撃したが、自衛隊が政府軍と交戦すれば憲法違反になる。
 現地のNGOはそれぞれが危険回避の対策を取っており、襲撃や拘束された現場にPKO部隊が救援に来ると期待しているわけではない。むしろ自衛隊が駆け付け警護で武力行使をすれば、日本に敵対感情が向き、私たちの活動がやりにくくなる懸念もある。政府は現状をきちんと見て、軍事ではなく外交的支援として何ができるかを議論すべきだ。


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2016年11月20日日曜日


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