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<エコラの日々>着物が教えてくれること

絵・木下亜梨沙

 濃いピンク色に小花模様の着物。私が赤ちゃんだった頃に着ていたものですが、今も私が愛用しています。もちろん、そのまま、というわけではありません。着物の下に着る襦袢(じゅばん)の袖に作り直して地味なつむぎに合わせているのです。
 この着物、私が小学生の頃には一度、掛け布団に作り直されました。その後、母が布に戻して保存しておいてくれたのでした。
 着物は大好きなのですが、普段の生活では洋服を着ています。洋服は体の曲線に合わせて作ってあるので、体形に合ったものを着ることができます。しかし、サイズが合わなくなれば去年の服でも着られなくなります。
 反対に、着物は体に合わせて着付けるので、着ることのできるサイズに幅があります。体形が少しぐらい違っても同じ着物を着ることができます。また、直線裁ちで布幅をほぼそのまま利用し縫い込んで仕立てるので、ほどけば元の一反の布に戻すことができます。
 汚れた着物はほどいて水洗いし、のり付けをする「洗い張り」という独特の洗濯方法で生地をよみがえらせ、汚れが目立たないように前後を取り換えたり、裏返したり、染め変えたりして新品同様の着物に仕立て直すことができます。
 元禄時代には今とほとんど変わらない形の着物が誕生していたといわれます。一枚の着物を夏は裏を付けずに単衣(ひとえ)で、寒くなってくると裏を付けたり薄く綿を入れたりと、縫い直して着た時代もありました。
 着物からはんてん、布団や座布団、小物やおむつに縫い直し、さらに傷んできた布は雑巾にしたり、細く裂いて裂き織りで新たな布に再生したり。古くなった木綿布を重ねて丈夫になるように細かく縫った「刺し子」など、伝統工芸にまで磨き上げられた技術もあります。
 大切な着物を長く着るために、そして少ない資源を徹底的に使い切るために、丁寧な手仕事が長い間受け継がれてきたのです。
 多くの着物は絹や麻、木綿などの体に優しい天然繊維で作られています。四季に合わせ、素材や裏地を工夫して夏は涼しく、冬は暖かく装うことができます。
 現代では成人式の晴れ着、夏の花火の日の浴衣、七五三などハレの日に装われることが多いのですが、それだけに着物には思い出もたくさん詰まっているように思います。大切に伝えていきたい日本文化です。
(ACT53仙台・木下牧子)


2016年11月21日月曜日


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