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<現代の名工>日本酒 現代風飲み口に

酒蔵で道具を手にする佐藤さん

 厚生労働省は20日、工業技術や衣服、建設などの分野で卓越した技能を持つ技術者160人を2016年度の「現代の名工」に選んだと発表した。表彰式は21日に東京の明治記念館で行われる。
 選ばれたのは、伝統技法による日本酒醸造で高い評価を受ける大七酒造(二本松市)の南部杜氏(とうじ)佐藤孝信さん(69)=岩手県花巻市=、時計の組み立て技術を評価されたシチズン時計マニュファクチャリング飯田殿岡工場(長野県飯田市)の荒井寛子さん(57)=飯田市=、原子炉などを組み立ててきた技術者で三菱重工業大型機器工作課の大寺弘さん(52)=兵庫県姫路市=ら。

◎大七酒造の南部杜氏 佐藤孝信さん=岩手県花巻市=

 伝統的な日本酒の醸造法、生〓(きもと)造りの第一人者。「当たり前のことをやってきただけなんだけども…」。ぼくとつとした語り口に、酒造りに対するきまじめさと情熱がにじみ出る。
 南部杜氏を多く輩出する花巻市大迫町生まれ。中学卒業後、宮城県村田町を皮切りに全国の酒蔵を歩き、腕を磨いた。先輩杜氏の誘いで1994年、少数派となっていた生〓造りを専門とする大七酒造(二本松市)に入った。
 人工乳酸や培養酵母を使わない生〓造りは独特のこくを生む一方、品質が一定しないリスクも伴う。伝統技法を守りつつ、独自の工夫を重ねて現代風の洗練された飲み口に高めた。全国新酒鑑評会で、ハードルが高い生〓純米醸造による金賞を2度受賞する快挙を成し遂げている。
 「職人はきれいな仕事ができなければならない」が信条。「手をきちんと洗うとか、掃除をしっかりするとか、そんなことです。一から十までちゃんとやるのが大事なんだね」
 丁寧な仕事が醸し出す酒は、原発事故の風評被害をはねのけ、支持され続ける。海外の評価も高く、ヨーロッパの高級レストランからの引き合いなども多い。
 「いい酒は何かって聞かれると…うまく言えないんだけど。若い人からお年寄りまで、みんなに喜んでもらえる酒を目指したい」

(注)〓は酉へんに元
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 名工の表彰制度は技能の世界で活躍する職人らに目標を示すとともに、技術者の地位、技能水準を向上させるのが狙い。都道府県知事や業界団体の推薦があった人から厚労相が選ぶ。褒賞金は10万円。近年は毎年150人ほどを表彰している。


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2016年11月21日月曜日


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