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<達谷窟毘沙門堂>70年ぶりに蘇民祭復活へ

蘇民祭が復活する達谷窟毘沙門堂

 岩手県平泉町の国史跡「達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門堂」で来年1月2日、戦前まで開かれていた蘇民祭が復活する。伝統行事の先細りを懸念する地元の男性が継承を目指して立ち上がり、県内で今年発足した蘇民祭の連携団体が後押しした。
 毘沙門堂のある達谷西光寺(たっこくせいこうじ)に伝わる蘇民信仰の伝承に基づき、邪気を払う「おにばらえ」と呼ばれる儀式を戦前の形で行う。
 護摩をたいて焦がした一升餅を毘沙門堂から庭に投げ落とし、東と西に分かれた下帯姿の男たちが奪い合う。勝敗や焦げ方で、その年の作柄を占う。
 蘇民祭の復活は約70年ぶりとみられる。1月2日の午後10時から約3時間かけて繰り広げる。
 平泉町の蘇民祭は、厄年の男性が地域ごとに参加する「毛越寺二十日夜祭(はつかやさい)」が有名。達谷窟近くの建設業阿部徹さん(43)が中心となり、2013年に地域としては久しぶりの参加を果たした。
 極寒で心身を酷使する祭りを通じ「どんな苦しみも乗り越えられる」と実感した阿部さん。県内10カ所の蘇民祭への参加を通じ、地元での再興を目指すようになった。達谷西光寺の達谷窟敬祐(たがやぎょうゆう)別当職に来年の復活を提案し、快諾を得た。
 10カ所の保存団体は今年、「岩手の蘇民祭保存会」を結成。達谷窟を11番目に認定した。保存会の菊地義則理事長は「形は違えど、廃絶が進む蘇民祭の継承に力を合わせたい」と意気込む。当日は保存会メンバーも参加する。
 阿部さんは「時代が変わり、蘇民祭や地域のみこし、神楽が廃れつつあるのが心配だ。神仏に手を合わせて得る気付きの大切さを伝えたい」と話す。
 達谷窟毘沙門堂は坂上田村麻呂の創建とされ、約1200年の歴史を持つ。

[岩手の蘇民祭]下帯姿の男たちが蘇民袋などを争奪する様式は全国で岩手だけとされる。岩手県教委によると、1000年以上の歴史がある黒石寺(奥州市)の蘇民祭を代表格に、花巻、一関、奥州3市と金ケ崎、平泉両町の10カ所に残る。県南の多くの寺社で、戦後から1950年代にかけて廃れた。


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2016年11月21日月曜日


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