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<福島沖地震>震災の記憶 呼び覚ます

仙台港に近い仙台うみの杜水族館。屋上に避難する人もいた=22日午前9時40分ごろ
避難指示を受けて、大勢の住民が訪れた山元町中央公民館=22日午前7時ごろ

 福島県沖の地震で約4年ぶりに津波警報が発令された県内では、沿岸市町が避難勧告・指示を相次いで出すなど対応に追われた。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた地域では、住民が迅速に避難するなど教訓を生かした動きが目立った。

 河北新報社の集計で、沿岸15市町の12万5350人に避難勧告・指示が出され、少なくとも約7200人が学校や公民館などの避難所に身を寄せた。小中学校では臨時休校も相次いだ。
 仙台港で県内最高の140センチの津波を観測した仙台市は、津波注意報の発令を受けて午前6時すぎに災害警戒本部を設置。約2時間後に警報に切り替わると、市長がトップの災害対策本部に格上げし、698世帯1732人に避難勧告を出した。
 市の担当者は「地域防災計画に基づく対応ができたが(津波注意報、警報と)ステップアップするのは経験がなく、戸惑った」という。
 震災被災地では、津波警報に敏感に反応した人が目立った。仙台市の避難所となった若林区の七郷中を訪れた主婦細谷光子さん(80)は「震災時はぎりぎりまで避難しなかったが、今回は大事を取って早めに避難した」と話した。
 仙台うみの杜水族館(宮城野区)は注意報と警報の発令により臨時休館となり、建物の屋上に避難しながら海の方をじっと見詰める人もいた。
 石巻市では高台の日和山公園に住民が次々と集まった。同市の主婦須田栄子さん(68)は孫明紗妃(あさひ)さん(20)の車で避難。「震災を経験しているので迷わず逃げた」と言い、車内でラジオの津波情報に聞き入っていた。
 東松島市では、JR野蒜駅近くに住む主婦山本幸子さん(78)が自転車で野蒜市民センターに急行。「家が全壊した震災を教訓に、命を落とさないようすぐ避難を始めた」と説明。震災で被災した気仙沼市の自宅で独り暮らしの主婦畠山英子さん(71)は避難先の市民会館で「津波の恐ろしさは忘れられない」と打ち明けた。
 早朝の大きな揺れと津波警報は、震災の記憶を改めて呼び覚ました。震災時に津波で山元町の自宅が浸水し、今回は町中央公民館に身を寄せた無職渡辺政夫さん(77)は「震災を忘れかけていたが、気を付けないといけないと思った」と、自らに言い聞かせるように語った。


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2016年11月23日水曜日


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