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冬告げる炭焼きの煙 「岩手切炭」伝統継ぐ

<窯出し>じっくりと焼き上げた炭の出来を確かめる韮沢さん。30年前、自宅の裏山に造った窯は4畳半ほどの広さで、高さは約1.2メートル。腰をかがめながらの作業は大変そうだ

 岩手県は木炭の国内生産量で3割を占め、日本一を誇る。本格的な冬の訪れを控え、主産地の県北地方では炭作りが盛んに行われている。
 北上山地の山懐に抱かれた久慈市山形町荷軽部地区。韮沢彦蔵さん(79)が炭焼き作業に追われていた。キャリアは60年以上。早朝から、ナラなどの原木を窯に詰めたり、焼き上がった炭を取り出したりする日々が続く。
 生産しているのは「岩手切炭(きりずみ)」のブランドで販売される黒炭。飲食店やレジャー向けに人気が高い。
 県内の炭作りは明治時代半ば、農家の貴重な現金収入源として広まった。幼い頃に父を亡くした韮沢さんは「家計を支えたい」と18歳で窯を造った。専業で年間20トン前後を出荷する。
 優れた技能者を県が認定する「チャコールマイスター」の一人。「伝統技術を受け継ぐ人が出てほしい」と、仕事の合間に仲間の窯の修理を手伝ったり、指導に当たったりと飛び回る。
 「一生懸命やった分、結果が出る」と炭作りの魅力を語る韮沢さん。すすけた笑顔を照れくさそうに拭った。(写真部・岩野一英)


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2016年11月24日木曜日


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