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里山暮らし豊かさ発信 山形・西川町が研究所

小酒井准教授にコクワの実について説明する佐藤さん(右)

 地元で暮らすことの価値を見詰め直そうと、山形県西川町が今夏、「里山社会・文化研究所」を設立し、独自の幸福指標づくりを目指して活動している。町の人口約5700はピーク時の3分の1。過疎に悩む町が経済発展とは一線を画した視点で、町の魅力を再発見しようという地方創生の試みだ。研究所は町民と交流を図りながら新たな指標を創設し、里山暮らしの豊かさを町内外に発信する。(山形総局・伊藤卓哉)
 幸福指標は、都市型生活ではなかなか体験できない里山での生活の豊かさや文化的な価値の高さを、具体的な項目を選定して評価する。新しく見いだした魅力に点数を付けて指標化する方法を模索し、町に提言するスキームを想定する。
 研究所のメンバーは、町が地域連携協定を結んでいる県内外の大学教員ら10人。東北文教大人間科学部の大川健嗣学部長が所長を務める。研究員らは環境や食、建築など、それぞれの専門分野で里山の社会や文化を検証していく。
 例えば、朝に自宅で作った安心、安全な採れたての野菜を食べることができる環境や、近所で高齢者の介助などを手伝う習慣が残る地域コミュニティーの存在などの項目が考えられるという。
 研究員で山形大地域教育文化学部の小酒井貴晴准教授は先月、学生3人と共にマタタビ科の木の実「コクワ」を育てる農家佐藤一男さん(91)の畑を訪れ、里山の多様性を調査した。
 ヨーグルトなどを作る発酵菌をコクワから採取する実験に取り組む小酒井准教授は「町で採れたコクワの実を使った商品開発をすることができれば、地域の活性化につながる」と説明。「里山には暮らしの豊かさを演出する資源がたくさんある」と言う。
 里山文化について学んでいる東北工大(仙台市太白区)の学生らも、町の指標づくりに協力する予定。大学のゼミ活動などと連動させることで、学生たちに里山の暮らしを理解してもらいながら、人材育成にもつなげていく考えだ。
 現在は町役場を活動拠点としているが、2018年度には旧大井沢小、中学校を改修した上で独立した事務所を設け、研究、交流、情報発信の拠点とする計画もある。
 町は14年度に始めた第6次町総合計画に、研究所設立を盛り込んだ。幸福指標の創設の手始めとして、同年10〜12月にかけて町民を対象に「まち自慢」アンケートを実施。金銭では計れない「宝」を発掘する作業に取り組んでいる。
 町の高齢化率は県内で最も高い40.7%。人口流出率も年々高くなっている。町政策推進課の後藤忠勝課長は「人口減少で、地域コミュニティーの存続は厳しい局面にある。さまざまな分野の専門家と連携して町の新たな魅力を発掘し、外にアピールしていくことで定住人口の増加につなげたい」と話している。


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2016年11月24日木曜日


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