山形のニュース

<道しるべ探して>足し算で生み出す仕事

浜辺で島民(右)や会社の後輩と談笑する渡部さん(中央)=酒田市飛島

 刻々夕闇が迫る。暮らしの足元がおぼつかなくなっていく。そんな不安ばかりを抱いて訪ねた土地だった。しかし人々は、知恵で不便を乗り越えようとしていた。支え合って明日を照らそうとしていた。

◎とうほく共創 第6部支え合い(上)何でも屋

 日本海に浮かぶ酒田市の離島・飛島で今秋、小学校が休校した。たった一人の在校生が、東京に引っ越してしまったのだ。
 残る島民212人の平均年齢は68歳。30代以下は10人ほどしかいない。このまま滅するかと思われた島だったが、現地には地域課題の解決を業とする会社が興っていた。
 合同会社「とびしま」の社員は、島に移り住んだ20〜30代の男女7人。「要するに何でも屋ですね」とUターン社員の渡部陽子さん(32)が言う。
 夏場はカフェや飲食店を運営する。観光ガイドを買って出て、土産物の開発や販売、水産物加工にも乗り出す。ときには旅館の仲居を頼まれることもある。
 島内に九つあるミニダムの管理を任され、10月からは、これに山形県水産事務所の事務仕事が加わった。
 若者たちが、小さな作業を足し算することで、暮らしが成り立つだけの仕事を生み出そうとしている。

 「とびしま」は、島に働く場をつくり、移住者を増やそうと2013年に設立した。
 カフェなどを手掛けるうち、夏の草刈り、冬の除雪といった作業が次々舞い込むようになった。高齢化した島民には、もう担えない島普請の数々だ。
 お礼に古老たちは、少しでも仕事のヒントにしてほしいと伝統料理や島暮らしの知恵を教える。
 「君らがいるから生きられる」。島民はねぎらいの言葉を忘れない。渡部さんはいつもこう答える。「それは私たちだって同じだよ」

 高齢者同士が助け合って生きていかなければならない時代が、すぐそこまで来ている。
 仙台市のNPO法人「仙台支え愛サポートセンター」は今年6月、青葉区桜ケ丘地区でお年寄りの困り事解決事業を始めた。
 1時間300円で庭の草むしりや部屋の掃除、電球の交換に応じる。派遣したボランティアには、謝礼に商品券を贈る。ボランティア登録する13人は、大半が一線を退いたばかりの元気なお年寄りだ。
 代表理事の斎藤忠夫さん(64)は「大都市の仙台でも局所的に高齢化率の高い地区がある。果たして10年後、どうなっているか」と危ぶむ。実際、全国平均を下回る仙台の高齢化率だが、郊外には40%近い地域もある。
 「今、行動を起こしたところと、後手に回ったところで大きな差になる」と斎藤さん。かみしめる言葉に、地域の将来に対する覚悟と責任がにじんだ。


2016年11月24日木曜日


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