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<長沼案見送り>踊らされ 沈む地元

シーズンオフの長沼ボート場。五輪開催を求める看板は残ったままだ=24日、登米市

 「復興五輪」の理念が雲散霧消するむなしさが宮城県を覆った。2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリント会場を巡り、県長沼ボート場(宮城県登米市)への変更案見送りが24日に判明。誘致に尽力してきた関係者からは「小池百合子東京都知事に振り回された」と恨み節も漏れた。
 長沼案が9月下旬に急浮上して以降、地元では市民挙げての誘致活動が展開された。「とめ漕艇協会」の名生高司副会長(77)は「孫の世代に、ここで五輪をやったんだぞと伝えたかったが…」と肩を落とした。
 東日本大震災の被災者が暮らす登米市南方町の仮設住宅団地は、リフォームして選手村に活用される計画だった。自治会長の宮川安正さん(76)は「ショックだ。頑張って生きてきた私たちの生活が分かる住宅を、世界から来る選手に見てほしかった」と残念がる。
 布施孝尚市長も「みんなが納得できる議論の経緯で決まったのかどうかが不明だ」と首をかしげた。
 現地には小池都知事が10月中旬に訪れ、長沼での開催実現に向けた機運は一時、最高潮に達した。
 「復興オリンピック・パラリンピックを長沼ボート場に歓迎する市民・団体の会」の長沼盛雄会長(67)は「多くの市民が期待し、盛り上がったのに」とがっかり。登米にスポットが当たった点には「改めて復興が注目されたのは良かった」と前向きに捉えた。
 宮城県は長沼と周辺の整備案をまとめ、費用は150億〜200億円と試算。村井嘉浩知事は民放各局のワイドショーに精力的に出演してアピールに努めた。
 村井知事は長沼案の見送りについて「県として何も聞いていない。注視していく」と淡泊な談話を出しただけ。「諦めていたのでは」(県幹部)との声も漏れる。
 長沼開催を目指してきた県議連盟の畠山和純会長は「小池氏が、関係機関と何の調整もなく長沼案を持ち出したことが露呈した。政治的パフォーマンスに振り回された」と怒り心頭。「宮城に対してどう始末をつけるのか」と憤りをあらわにした。


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2016年11月25日金曜日


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