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<道しるべ探して>知恵と共助で商店守る

マイド券を使って三ツ矢商店で買い物をする地区住民=横手市山内南郷

◎とうほく共創 第6部支え合い(下)地域通貨

 地区にたった一軒の「よろず屋」を守り抜け。住民が知恵を絞った。
 98世帯が肩寄せ合って暮らす秋田県横手市の南郷地区で昨年8月、「マイド券」の流通が始まった。食品や雑貨、酒類を扱う地元の「三ツ矢商店」でしか使えない地域通貨だ。
 発行元の南郷共助組合は、2012年に住民有志が設立した。組合長の高橋徳保さん(78)は「過疎化が進んで薄らいだ『向こう三軒両隣』の精神を取り戻したかった」と語る。
 共助組合のモットーは「地域のことは地域で」。有償ボランティアの「お助け隊員」に登録する地区住民が民家の雪下ろしや県道の草刈りをすると、手間賃の1割をマイド券で支給する。これまでに計5万6000円分を発行した。

 昭和30年代に700人いた住民は半減し、5軒あった個人商店は次々廃業した。
 高齢化率41.2%。車のない「買い物弱者」11世帯。状況は確実に悪化している。三ツ矢商店の消長は、そのまま南郷地区の存続に直結する。
 「店がなくなってからでは遅い。発行額は少ないが、まずは店に足を運んでもらいたかった」。共助組合を支援する秋田県南NPOセンターの八嶋(やつしま)英樹さん(51)はこう強調する。
 三ツ矢商店の3代目高橋潤さん(51)は「人口が減って売り上げも減り、経営は厳しい。それだけにマイド券で買い物してもらえるのは本当にありがたい」と感謝の思いを口にした。
 共助組合では今後、マイド券を地区運動会の景品にするなど少しずつ発行額を増やしていくという。

 大阪府寝屋川市の地域通貨「げんき」は、年間発行額500万円超を誇り、市内全域の400店で利用できる。
 あらかじめ「げんき」を購入した市民が、子育てサポートや高齢者支援の有償ボランティアを利用した際の支払いに利用する。
 発行元のNPO法人「地域通貨ねやがわ」は04年に発足した。「着実に地域コミュニティーと地域経済の活性化につながっている」と自信を深める理事長三和清明さん(78)。「地域通貨は助け合いを促進するツールだ」
 市も「ふるさと納税」制度にNPOを指定して寄付できる仕組みを設け、資金面でバックアップする。地域通貨ねやがわには昨年度、92万円が寄せられた。
 古くから「講」や「結(ゆい)」と呼ばれる地域互助システムがあった。地域通貨は、その現代版と言えそうだ。


2016年11月26日土曜日


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