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<手腕点検>復興事業 発展もたらす

駅前再開発ビルの来館者100万人記念イベントであいさつする菊地市長(中央)=10月30日、多賀城市中央

◎2016宮城の市町村長(18)多賀城市 菊地健次郎市長

 多賀城市がJR仙石線多賀城駅前に建設した再開発ビルの来館者が10月、3月の開館から約7カ月で100万人の大台に到達した。
 入居する図書館の指定管理者で、併設の商業施設も手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のデザイン力が集客に大きく貢献。菊地健次郎市長(69)は記念式典で「100万人は通過点」と言い切った。

<「図書館」で自信>
 東日本大震災は市に、甚大な津波被害とともに発展をもたらした。多賀城駅前再開発による中心市街地形成をはじめ、八幡一本柳地区の工業団地整備、南北に走る2本の都市計画道路など、長年の懸案が復興事業として次々に実現した。
 「一見弱々しそうに見えるが、自分が推し進めた図書館事業が成功し、自信が感じられる」。元市議会議長の阿部五一さん(86)は評価する。
 トップダウン型が続いた市政運営にあって、2006年に就任した菊地市長は調整型。やりたいことのイメージを職員に示すと、後は任せる。庁内には「仕事がしやすい」との声が多い。
 他方、「その事業で何がしたいのか。ビジョンが見えない」との指摘もある。
 多賀城・七ケ浜商工会の安住政之会長(62)は、図書館に近い再開発事業地内に市が単体の駐車場ビルを建設したことを批判。「駅前の一等地の利用方法ではない」と断じる。
 駐車場ビルの隣に建設中のマンション1階に独自の商業施設を計画する安住氏は「地元の若い商工業者に下層階を託し、チャンスを与えるなどの可能性を探るべきだった」と言う。
 国指定特別史跡多賀城跡を活用した観光の目玉として、市は外郭南門の復元を計画する。就任以来、奈良市や福岡県太宰府市などと史跡を通じた友好都市交流を推進してきたのにもかかわらず、菊地市長は実施への明言を避ける。
 国府多賀城観光推進協議会の山田諄会長(83)=市区長会会長=は「財政面で職員が前向きではないのだろう」と推し量る。「性格が温厚で強く言えないのだと思うが、時には地域のためにトップダウンで臨んでほしい」と注文する。

<少ない市民対話>
 「文化庁の幹部と会食した」「文科省の知り合いの勧めで学校の耐震化を進めた」。市の外部との付き合いに重きを置く一方で、市民に直接語り掛けるような場面はそう多くない。
 東北最大の都市・仙台に隣接する市。菊地市長が掲げる「東北随一の文化交流拠点づくり」を市民が実感するためには、自ら市民の間に分け入っていく姿勢が欠かせない。(多賀城支局・佐藤素子)


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2016年11月27日日曜日


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