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<あなたに伝えたい>楽しかった 2人で温泉巡り

妻の三代子さんが津波に巻き込まれた自宅周辺を歩く杉山さん
杉山三代子さん

◎杉山賢太郎さん(石巻市)から三代子さんへ

 賢太郎さん あの日は午前中に2人で市内の写真館に写真を撮りに行きました。副団長を務めていた地元の消防団を3月末で辞める予定でしたので、前年の暮れから撮ろうと考えていました。
 きちんとした写真を撮るのは結婚式以来でした。なんであの日だったのか、いまだに不思議です。
 午前11時ごろに写真館を出て回転ずしを食べに行きました。目の前にパチンコ屋があったので食後に立ち寄るか迷ったのですが、その頃は負けていたので買い物をして帰りました。やっていれば良かったです。
 自宅にいるとガタガタと揺れ、私は消防団の服に着替えて役場に向かいました。家内はその後、津波に巻き込まれ、いくら捜しても見つかりません。葬式は済ませました。戒名は家内が縫い物も踊りも好きでしたので、私が「香麗院縫舞」と付けました。
 家内とはけんかもしたけれど、仲は良かったです。よくワゴン車にダブルの布団を積んで東北の温泉地などを巡りました。
 私が歴史好きなので、偉人にまつわる名所を連れて歩いたのですが、家内は「いっつも誰かのお墓とか神社を見せられる」と笑っていました。たまに家内が好きな花を見に行くと、喜んでいました。今は1人なので行く気にはなりません。
 私は仮設住宅の集約に伴って最近、5年余り過ごした仮設住宅から別の仮設住宅に引っ越しました。災害公営住宅に入るまで、もう1年はかかりそうです。

◎偉人にまつわる名所を歩いた

 杉山三代子さん=当時(66)= 石巻市雄勝町の自宅で夫賢太郎さん(74)と暮らしていた。1男2女を育てた。東日本大震災で一度は高台の神社に逃げたが、自宅裏の路地に倒れたはしごを片付けに戻った後、津波に巻き込まれて行方不明になった。


2016年11月27日日曜日


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