宮城のニュース

<この人このまち>海岸林再生集いの場に

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県亘理町の海岸林の再生を目指すNPO法人「わたりグリーンベルトプロジェクト」。住民やボランティアが、4キロにわたる町沿岸部で広葉樹や針葉樹合わせて約5万本を植えようと奮闘している。町の沿岸部に住む代表理事の嘉藤一夫さん(68)は、植樹を通じ地域を元気にする取り組みを思い描く。
(亘理支局・安達孝太郎)

◎NPO法人「わたりグリーンベルトプロジェクト」代表理事・嘉藤一夫さん(68)

 −プロジェクトが始まった経緯は。
 「震災時に町内で活動していたボランティアが住民と話し合い、海岸林の再生支援に動き出したことがきっかけでした。2012年度に住民らによる運営委員会が発足しました」
 「委員会発足と同時に海岸林を考えるワークショップ(WS)が始まりました。私が住んでいたのは、林に隣接する行政区よりも内陸側の集落。それでも、林が無くなって風が強くなったと感じていました。林の必要性を感じ、WSに加わったのがプロジェクト参加のきっかけです」
 −WSの成果は?
 「海岸林では震災前までキノコ採りが行われ、昔は風呂のたき付けを拾う場でもありました。林の役割が防潮だけではないことをみんなで学びました。林の背後に市民農園やお花見広場、サイクリングロードなどの整備を求めたマスタープラン(基本計画)を作り、町に実現を訴えました。林に隣接していた集落の再生は難しいかもしれませんが、人が集う場にはできると考えています」
 −計画作成後の活動は?
 「残存林の下草を刈ったり、苗木を種から育てたりしました。15年度に本格的に植樹を始めました。これまで延べ1000人前後がボランティアで関わり、約1万4000本を植えました。地元小学生も参加し、今春は子どもたち自身が種をまいた苗を植えました」
 「被災地を空から見つめる熱気球フェスティバルも毎秋開催しています。子どもに夢を描いてもらうのが目的。彼らが大人になった時、地元を『楽しい所だよ』と自慢できる場にしていきたいと思っています」
 −今後の活動予定は。
 「海岸林で活動する人が有料で寝泊まりできるビジターセンターの構想もあります。地域の屋敷林にツバキを広め、つばき油を採取することも考えています。現在、ボランティアに訪れる企業からのコーディネート費などで運営費を賄っていますが、台所事情は厳しい。自立のための仕掛けをNPOの仲間たちと考えていこうと思っています」

[かとう・かずお]1948年盛岡市生まれ。盛岡工高卒。77年〜2008年、NECトーキンに勤務。15年、プロジェクトのNPO法人化と同時に代表理事に就任。


関連ページ: 宮城 社会

2016年11月28日月曜日


先頭に戻る