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<核燃サイクル>原発事故後の戦略必要

 政府が12月にも示す高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の抜本的見直しで、廃炉が決まれば東北の原子力関連施設への影響は計り知れない。にもかかわらず、政府や電気事業連合会(電事連)、核燃料サイクルの中核を担う日本原燃(青森県六ケ所村)は「(核燃サイクルに)影響はない」と口をそろえる。事実関係を積み重ねていくと、説明をうのみにできない現実が見えてくる。

 「影響ないわけがない」。核燃施設が集まる青森県下北半島で、立地自治体首長代表の宮下宗一郎むつ市長が不満を漏らした。その理由はそう難しくはない。
 日本の核燃サイクルは=図=の通り、高速増殖炉と軽水炉の二つがある。資源エネルギー庁の資料では、むつ市に建設中の中間貯蔵施設は高速増殖炉サイクルに分類される。高速増殖炉開発が頓挫すれば、むつ市に搬入される使用済み核燃料は行き場を失う。もしくは、施設自体が不要となって市の税収がなくなる−。この程度の事態は容易に想像がつく。
 エネ庁の資料には「六ケ所村の再処理工場の能力を超える分を貯蔵」とあるが、どちらのサイクルに組み込まれるかは事実上、宙に浮いている。
 軽水炉サイクルの要になる再処理工場も、もんじゅと無縁ではない。日本は、使用済み核燃料を用いた再処理工場のアクティブ試験などで既に、核分裂性プルトニウムを31.8トン保有する。再処理工場がフル稼働すれば、さらに年間4.8トン産出される。
 余剰プルトニウムの不保持を国際公約に掲げる日本は、高速増殖炉抜きで年間4.8トン消費しなければならない。しかし、プルトニウムを消費するプルサーマルの許可を取った原発10基全てが稼働したと仮定しても、年間消費量は3.74トンにすぎない。再処理工場が完成予定の2018年は、日本に再処理を認めた日米原子力協定の改定年でもある。プルトニウム精製と消費の均衡策を示さなければならず、工場フル稼働に向けた環境は盤石とは言い難い。
 プルサーマル発電後の使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の運び出し先が、実在しないことも見落としてはならない。六ケ所村の再処理工場は使用済みMOX燃料を扱えない。高速増殖炉計画が消えればぺーパー上でだけ存在する第2再処理工場の必要性も薄まり、核のごみを各原発で保管し続けなければならなくなる。青森県大間町に建設中の電源開発大間原発は全炉心でMOX燃料を使えるため、発電開始と同時にごみ問題に直面する。

 日本が目指してきた原子力開発は、10割以上の資源節約効果がある高速増殖炉サイクルであり、経済性に乏しく1〜2割程度の資源節減にしかならない軽水炉サイクルではなかった。
 核燃サイクル政策が始まって60年の今、国内ではサイクル(循環)どころかサークル(円)にもなっていない。東京電力福島第1原発事故を経て、国や事業者の夢物語を妄信する時代は終わった。東北の立地自治体は、もんじゅのような突然の廃炉方針に備え行政戦略のベストミックスを考えるべき時に来ている。(むつ支局・勅使河原奨治)

[プルトニウム利用計画]電事連は2010年、年間5.5〜6.5トンの核分裂性プルトニウムの消費を目指し、原発16〜18基でプルサーマルの導入を計画。しかし、導入許可を取った原発は10基(年間消費量合計3.74トン)、うち適合性審査を申請したのは8基(同3.4トン)、合格は4基(同1.5トン)にとどまる。プルサーマルでの実働は伊方原発3号機(同0.4トン)だけとなっている。


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2016年11月28日月曜日


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