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<北海道新幹線>高速走行3年延期に青森困惑

青森県議会に高速走行実現を先延ばしする理由を説明する国交省鉄道局の担当者(中央)ら=10月28日午後2時5分ごろ、青森県庁
地元住民や鉄道ファンが見守る中、青函トンネルに入る新青森発の一番列車=3月26日午前6時51分、青森県今別町の青函トンネル入口広場

 北海道新幹線の新青森−新函館北斗間(約149キロ)のうち、青函トンネルを含む貨物列車との共用走行区間(約82キロ)の高速走行実現が3年程度先延ばしとなった。全ダイヤでの高速走行を長年要望してきた青森県議会と県は、国土交通省の見通しの甘さを批判。今後のスケジュールを示さない国の姿勢に不信感を募らせている。

◎貨物共用区間 国の姿勢に不信感

 「高速走行時期が延びるという今回の説明は、誠に唐突な感を免れない」
 今月上旬に開かれた青森県議会新幹線・鉄道問題対策特別委員会で、国の報告に対する受け止めを聞かれた三村申吾知事は不満をのぞかせた。出席した国交省の担当者に対し、県議からも「なぜ今ごろになって新たな問題が出てくるのか」「3年間の議論は何だったのか」と質疑が相次いだ。
 青森県は、全ダイヤでの高速走行実現を条件に2005年、北海道新幹線の着工に同意した背景がある。今回の報告に、県幹部も「高速走行を本気で実現しようとしていないのではないか。調整の仕方は考えようと思えば出てくるはずだ」と疑念を抱く。
 新幹線は本来、時速200キロ以上で走行する。北海道新幹線の最高速度は時速260キロで、青函トンネルも将来的に新幹線が高速走行する前提で規格設計、建設された。
 現状は、地震発生や新幹線の風圧による貨物列車の荷崩れや脱線事故を防ぐため、トンネルの前後を含む共用区間で、これまでの特急列車と同じ時速140キロで走行する。高速走行が実現すれば、新青森−新函館北斗間の所要時間は約1時間から約30分に短縮される。
 青森県はこれまでに、北海道新幹線建設費計約5800億円のうち、約803億円(見込み含む)を負担してきた。特別委では「(短縮された)わずか3分に803億円かかったのか」と、所要時間や運賃、乗り換えの利便性がさほど向上しないことへの県民の不満を代弁する県議もいた。
 県議側からの「高速走行が実現するまで、運賃を見直せないか」との質問に、国は「運賃の軽減措置は制度的に難しい」と即答。新たな負担金を心配する声に対しては「現時点では想定していない」と述べた。
 問題視された地元への情報提供の機会の少なさに関しては、函館市内で22日に開かれた沿線自治体や商工団体による協議会で、高速走行の早期実現に向け新たな検討組織が設置される見通しとなった。県によると、国と沿線自治体に加え、経済、観光関係者らで構成し、社会的・経済的な側面からの議論の深化と、国との情報共有を強化する狙いがあるというが、設置時期など詳細が決まるのはこれからだ。

[青函共用走行区間の高速走行延期]国は2013年3月に示した方針で、18年春に1日1往復の高速走行実現を目指すとしていたが、今年10月下旬、21年春まで3年程度延期することを青森県などに報告した。理由として、(1)安全運行するためにレールの金属疲労層を削り取る「削正(さくせい)」作業に想定以上の時間がかかり、完了が19年度になる(2)トンネル内のすれ違いや衝突を避けるための貨物列車誤進入防止システムも導入までに試験が必要になる−ことなどが示された。


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2016年11月28日月曜日


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