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<山形知事選>自民選択肢提示の責任放棄

 【解説】自民党山形県連が知事選の独自候補擁立を断念した。4年に1度、有権者に県政の針路を選ぶ機会を提供する公党の責務より、次期衆院選の思惑や3選を狙う現職の吉村美栄子氏(65)が先行する情勢を前に、内輪の論理を優先した結果と言える。
 断念の背景には、県内の衆院小選挙区ごとで知事選への温度差が大きかったことがある。3選挙区のうち、当選2回以下で支持基盤が盤石とは言えない2、3区では、知事選と衆院選が重なった場合、民進党に近い吉村氏が衆院選と連動した選挙戦を展開することを危惧する意見が強かった。
 7月の参院選で、自民党公認候補が野党統一候補に12万票の大差で敗れたことも尾を引いた。吉村氏の女性後援会「オレンジの会」は集票力の高さで知られ、知事選で対立候補を立てても苦戦が予想された。全県選挙で連敗を喫するより「不戦敗」を選んだ方が傷が浅いとの計算が働いた。
 県連はこれまで「吉村氏は政権与党とのパイプがない」と批判し、自民党系知事の必要性を訴えてきた。しかし、吉村氏は10月、二階俊博自民党幹事長、菅義偉官房長官と相次いで面会、激励を受けた。この会談で、県連内には党中枢の意向に逆らってまで戦う意味があるのかという厭戦(えんせん)ムードに拍車が掛かった。
 県連の一部に擁立論があった大内理加県議(53)=山形市選挙区=は立候補に意欲を示していた。だが、大内氏が提示した「党が一枚岩になる」との条件は整えられず、正式な出馬要請すらできずに終わった。
 人口減少やグローバル化の中で変化する産業構造への対応など、山形県政には課題が山積している。政権党、県議会の最大会派でありながら、将来の県のあるべき姿を論じ合う最高の舞台を自ら放棄した責任は大きい。(山形総局・宮崎伸一)


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2016年11月28日月曜日


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