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<廃炉費負担議論>原子力救済拭えぬ不信感

 原発の廃炉費用を巡り、国民負担が増大する可能性が高まっている。

◎東京検分録

 経済産業省は有識者会議を設置し、東京電力福島第1原発の廃炉・賠償費と、他の原発で早期に廃炉になる場合の費用負担の在り方を議論している。年内の取りまとめを目指し、実質的に電気料金から一部を回収する方策を検討中だ。
 「託送料金」と呼ばれる大手電力の送配電網の使用料に費用を上乗せする内容。電力自由化後に新規参入した事業者も大手電力に支払う仕組みで、国民にとっては追加負担となる。
 「電力自由化の下で、東電と原子力事業を救済しようとする措置だ。原発の後始末のための一種の目的税とも言える」
 国会内で17日にあった超党派議員によるエネルギー政策の調査会で、大島堅一立命館大教授は国の動きを批判した。原発コストに詳しい大島氏は「託送料だと国会のチェック機能が働かない」とも指摘。不透明な支出を伴いながら廃炉が進むことに懸念を示した。
 会合では「原発の電気は『安い』と言ってきたのだから、電力会社は経営努力で回収すべきだ」(金子勝慶大教授)などと厳しい指摘が相次いだ。
 原発事故に絡む費用は膨らみ続け、事故の影響で他の原発事業も先行きは見通せない。廃炉に2兆円、賠償や除染に9兆円と見込まれた事故費用は、大島氏の試算で既に計15兆円を超え、さらに増える見込みだ。
 経産省は福島第1の廃炉費について、最終的な試算を示さないまま議論を重ねる。同省の有識者会合では出席者から「(福島第1廃炉は)国難事業だ」と、国民負担を正当化するような発言も出ている。
 「福島が安心し、国民が納得し、(廃炉)現場が気概を持って働ける解を見つける」と経産省は主張するが、現状では説得力に欠ける。廃炉の費用負担は透明性ある仕組みが大前提だ。国会が深く関与し、時間をかけて解決策を探る道もあるのではないか。(東京支社・小沢邦嘉)


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2016年11月28日月曜日


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