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津波被災者と原発避難者 垣根超え交流深める

参加者の笑顔が広がった下神白、永崎両団地の秋祭り交流会=27日、いわき市

 東京電力福島第1原発事故で2万4000人の避難者を受け入れている福島県いわき市で、避難者と市内の津波被災者との交流が始まっている。「被災者同士、垣根を越えて共に頑張ろう」と親睦を深める。27日には小名浜と薄磯の各地区で、交流イベントがあった。
 小名浜では27日、避難者用の下神白(しもかじろ)団地(県営)と津波被災者らが住む永崎団地(市営)の「秋祭り交流会」が始まった。両団地は同じ場所に道路一本を隔てて整備された災害公営住宅団地。下神白には富岡、大熊、浪江、双葉4町の約340人、永崎には市内の約410人が暮らす。
 初日は約50人が永崎の集会所で太鼓を作り、団地内をチンドン屋と練り歩いた。29日までの3日間、両団地の集会所を交互に使い、「なみえ焼そば」の振る舞いなど、さまざまな催しを繰り広げる。
 下神白団地が今年6月、自治会を結成。9月に永崎団地自治会の幹部や地元行政区長と顔合わせ会が持たれた。秋祭りは両団地の合同企画の第1弾だ。
 いわき市内では原発事故の賠償などを巡り、避難者と市民のあつれきも指摘される。永崎団地自治会長の藁谷鉄雄さん(74)は「そうした声をなくすためにも、交流を深めたい。遠くの親戚より、近くの他人。環境が違う部分もあるが、同じ被災者、隣人として助け合っていく」と話す。
 下神白団地自治会長の遠藤一広さん(64)も「私たちはいわきに長くお世話になる。交流行事への参加者を増やすなど、少しずつ地域に溶け込みたい」と強調する。
 津波で115人が犠牲になった薄磯地区では27日、災害公営住宅の薄磯団地に、市内に避難する双葉町民の会「いわき・まごころ双葉会」の15人ほどが訪れ、一緒に豚汁やカレーライスを味わいながら、バンド演奏などを楽しんだ。
 交流は昨年秋、双葉会の呼び掛けで始まった。互いの催しへの参加や薄磯へのバスツアー、七夕飾り制作、花壇作り、防災緑地への植樹などで関係を築いてきた。
 薄磯の津波被災地は区画整理事業で新たな街に生まれ変わる。薄磯団地自治会長の大河内喜男さん(67)は「古里に戻れない双葉町の人たちを温かく迎え、一緒に楽しい時を過ごしたい。薄磯に家を建て住みたいという双葉の人がいれば大歓迎」と語る。


2016年11月29日火曜日


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