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<事業性評価>東北の銀行 成長企業見極めに意欲

 金融庁が地方金融機関に対し、企業の事業内容や将来性を重視した「事業性評価」に基づく融資を増やすよう求めている。不良債権処理など金融機関の経営健全化を優先する従来の姿勢を転換した。東北の各銀行は「当然のこと」と冷静に受け止めつつ、「より中小企業を応援していく」と気を引き締める。
 同庁は9月、金融機関が自己点検する指標として事業性評価に基づく融資や無担保・無保証融資の額、取引先の経営改善の件数など55項目を提示。自主的な開示を促した。
 東北各行のトップは中間決算発表の記者会見で、それぞれ見解を示した。
 七十七銀の氏家照彦頭取は「特に東日本大震災以降は被災地の銀行として事業性評価をしてきた。われわれの目で取引先企業を評価し成長の役に立ちたい」と自負心をにじませた。
 東邦銀の北村清士頭取は、東京電力福島第1原発事故の賠償金がなくなった場合の経営支援などに触れ、「これがまさに事業性評価。従来のスタンスを貫けばいい」と強調した。
 同庁が方針転換した背景には、地域経済が縮小する中、担保・保証や財務内容を重視する融資だけでは、金融機関、取引先の双方が立ちゆかなくなるとの問題意識がある。山形銀の長谷川吉茂頭取は「地方を強くしないと日本はもたないという安倍政権の動きがある」と読み解く。
 戸惑いの声もある。青森銀の成田晋頭取は「担保や保証人の存在だけで融資を決めていたわけではない。一方で過去の不良債権問題を考えると、預金者保護の観点からは担保が必要なのは当然だ」と話した。
 方針転換が金融機関の再編につながるかどうかについては、大半の銀行が「直接リンクはしていない」(湊屋隆夫秋田銀頭取)と否定的な見方を示した。
 指標に基づく自己点検結果の公表は各行の自主的な判断になる。公表内容によっては、融資を受ける企業にとって自社のニーズに合った金融機関を選びやすくなる利点がある。
 福島銀の森川英治社長は「虚心坦懐(きょしんたんかい)に事業を評価し、新たなマーケットを開拓していくことが大事だ」、岩手銀の田口幸雄頭取は「金融機関の自己資本比率や経営健全性が中心だった競争から、どういう取り組みをしているかを競い合う時代になる」と指摘した。


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2016年11月29日火曜日


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