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<長沼案断念>被災地貢献 掛け声倒れ

東京五輪ボート会場見直しの経緯

 2020年東京五輪・パラリンピックのボート、カヌー・スプリントの会場計画見直しで、「宮城県長沼ボート場」(宮城県登米市)への変更案は29日、見送りが決まった。「復興五輪にふさわしい」と長沼案を打ち出し、自ら視察して地元の期待を集めた小池百合子東京都知事。結局、現行計画の「海の森水上競技場」(都内臨海部)を選び、東日本大震災の被災地に貢献する案は掛け声倒れに終わった。
 都と国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会、政府の4者によるトップ級会合の開始早々、小池知事は会場見直しに関する都の考えを語り始めた。
 長沼案について「IOCのコーツ副会長から事前キャンプの場として活用するという提案を受けた」と説明。「復興五輪のキーワードを実現するにはよい会場だが、さまざまな費用面や立地を考えた」と断念する考えを表明した。
 「いろんな場所を比べ、競技団体と相談した。時間は結構かかった」。会合終了後、森喜朗組織委会長は海の森の計画を作った経緯を振り返り、「何と言っても選手が賛成しないといけない」と長沼案との違いを指摘した。
 小池知事の姿勢が変化したのは、10月18日のバッハIOC会長との会談で会場変更をけん制されてから。会談3日後には「(長沼案は)役割を既に果たした部分がある」と語った。
 同月末には「長沼の整備が東京大会に間に合わない」とする都庁内部の検証結果も明らかになり、長沼劣勢の空気が醸成された。
 宮城県の担当者によると、東京都の検証は標準的な工事の流れに基づく一般的な日程をまとめていた。用地買収や漁業補償について、県側が現場の実情を説明しても「話し合いは平行線」で、都の検証に反映されなかったという。
 「最近、都側が出す情報は一方的になった。『長沼外し』ありきだったのではないか」。登米市を選挙区とする小野寺五典衆院議員(宮城6区)は疑念を示し、「東京都は復興五輪を強調したが、地元はかき回されただけだ」と地域住民の心情を思いやった。


2016年11月30日水曜日


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