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<長沼案断念>復興発信 意識足りず

長沼ボート場に設置されている東京五輪招致の看板

 【解説】東京五輪のボート、カヌー・スプリント会場は、宮城県長沼ボート場への変更ではなく、現行の「海の森水上競技場」に落ち着いた。「復興五輪」を強調していた小池百合子都知事だったが、長沼案断念の理由に挙げたのは「費用」と「立地」。変更案を突然ぶち上げ、期待を高めた末の見送りに、歓迎ムードだった宮城県には「振り回されただけ」とのむなしさが漂う。
 東京都の調査チームが9月下旬に打ち出した長沼案は、五輪の経費縮減が出発点だったが、東日本大震災からの復興をアピールする狙いも掲げた。だからこそ宮城県の村井嘉浩知事はすぐに受け入れ態勢づくりに奔走。登米市の仮設住宅団地を選手村にする計画を提案し、コスト面の懸念が指摘されると大会組織委員会の費用試算350億円を下回る「150億〜200億円」を示し反論した。
 村井知事が整備費の財源の一部に震災復興基金を充てる考えを示すと、一日も早い生活再建を望む被災者からは疑問の声も上がった。長沼案の見送りに、貴重な復興財源を使うことを容認し「復興五輪」を信じた人たちの落胆は大きい。
 長沼開催を目指してきた県議連盟の畠山和純会長は「小池知事の単なるパフォーマンスだった。裏付けがないままの発言だったら、被災地への配慮に欠ける」と憤る。
 小池知事は長沼での事前合宿を提案し、復興のキーワードを捨てていないとアピールした。しかし、そもそも事前合宿誘致は登米市などが前から取り組んでおり、小手先の対応に映る。国際オリンピック委員会(IOC)や組織委員会も含め、震災からの復興を世界に発信するという意識が足りなかったとしか見えない。(登米支局・本多秀行、報道部・大橋大介)
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 2020年東京五輪・パラリンピックの会場計画見直しで、国際オリンピック委員会(IOC)、大会組織委員会、東京都、政府の4者によるトップ級会合が29日、都内のホテルで開かれた。ボートとカヌー・スプリントの会場は都が提示していた宮城県登米市の「宮城県長沼ボート場」を断念し、現計画の「海の森水上競技場」(都内臨海部)をコストを抑えて新設。水泳も「五輪水泳センター」(江東区)を観客席を削減して建設することで決着した。調整が難航しているバレーボール会場はクリスマスまで結論を先送りした。


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2016年11月30日水曜日


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