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<被災地民生委員>足りぬ人材 増す負担

委嘱状を受け取る気仙沼市の民生委員・児童委員。市内では32人の欠員が生じている=1日、気仙沼市

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の被害に遭った自治体で、民生委員・児童委員の不足が続いている。被災者の生活再建や高齢化に伴い「地域の相談役」の重要性は高まる一方、人材確保は依然厳しい。災害公営住宅や防災集団移転先での暮らしが始まった地域では委員の負担が増すなど、復興が進むとともに新たな課題も生じている。(報道部・菊池春子、気仙沼総局・高橋鉄男)

<多くが平均以下>
 委員は1日、3年に1度の一斉改選が行われた。岩手、宮城、福島各県などによると、各県の沿岸と、原発事故で避難区域が設定された自治体を合わせた42市町村の地区担当の委員の充足率は表の通り。64.3%に当たる27自治体が定数を満たさず、多くの自治体が各県平均を下回った。
 充足率が最も低いのは福島県楢葉町の65.0%。次いで岩手県大槌町73.3%、宮城県東松島市77.4%、宮城県気仙沼市80.5%、宮城県南三陸町83.0%だった。欠員数は石巻市40人、気仙沼市32人、東松島市19人の順に多かった。
 被災自治体の欠員数が、各県全体の欠員数に占める割合でみると、宮城が86.8%、福島63.1%、岩手52.3%。委員を確保できない状況は被災地が深刻で、宮城が際立っている。

<人選追い付かず>
 震災後、2度目の改選となった今回、復興まちづくりの進展に合わせて、定数を増やした自治体もある。防災集団移転先が完成した東松島市は8増、仮設住宅を解消した岩沼市は9増のそれぞれ84人だが、いずれも定数を割った。
 各自治体は震災後の人口減少や住民の移転、高齢化などで、なり手確保が年々難しくなっていると分析。委員を推薦する自治会が再編され、人選が追い付かないケースもあるという。
 岩手県大槌町は「高齢だが、民生委員の経験者に無理を言って継続してもらっている」という。欠員地区は、隣の地区の委員がカバーしている状態だ。
 原発事故で住民が広域避難する福島県は、事情がより複雑だ。
 住民票に基づき地区ごとに選出された委員は、住民票の同じ地区に住所を登録する人が活動の対象になる。実際の避難先はそれぞれ異なり、遠い場合は電話で話を聞くなど、活動には障壁が多い。「生活再建や帰還などの見通しが流動的で、継続して就いてもらえない委員も少なくない」(楢葉町)という。

<「荷が重い面も」>
 新たなコミュニティーづくりが課題となる災害公営住宅などを担当する委員の負担は増し、なり手不足に拍車を掛ける。
 気仙沼市では、災害公営住宅が完成し世帯数が増えた地区を担当する委員の増員に苦慮する。「面識のない新住民の見守りに難しさを感じる人が多い」(市社会福祉課)からだ。
 東松島市最大規模の防災集団移転団地、あおい地区は3地区に分けて民生委員を配置するが、2地区は欠員のまま。自治会ができたばかりで人選作業が追い付かなかった。同市福祉課は「一からスタートする地域は荷が重い面もある。自治会の活動をサポートし、委員の確保を後押ししたい」と説明する。

[民生委員・児童委員]地域の世話役として住民の相談に応じたり、行政機関につないだりする無報酬の非常勤地方公務員。高齢者や障害者らのほか、子どもの福祉の問題に対応する。自治会などが推す候補者を知事や政令市長らが推薦し、厚生労働大臣が委嘱する。主任児童委員は特定の担当地域を持たない。


2016年12月02日金曜日


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