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<常磐線>移設ルート 眼下に内陸新市街

報道機関に公開された新駅の山下駅と車両=2日午後2時20分ごろ、宮城県山元町

 東日本大震災で被災したJR常磐線相馬(福島県相馬市)−浜吉田(宮城県亘理町)間が10日に運転再開するのを前に、JR東日本は2日、報道機関向けに相馬−山下(同県山元町)間で試乗会を開いた。

 高架式の新しい山下駅を出発した2両編成は、駅前に広がる新市街地を眼下に見ながら加速。二つのトンネルをくぐって坂元駅(同)へ向かった。
 その後、左手に海を眺めながら県境を越えて新地駅(福島県新地町)へ。同駅を出て間もなく旧線路と合流し、駒ケ嶺駅(同)を経て、出発から約20分で相馬駅に着いた。
 再開区間は約23.2キロ。津波で甚大な被害を受けた駒ケ嶺−浜吉田の線路約14.6キロと、新地、坂元、山下の3駅を最大で1.1キロ内陸に移設した。移設区間の4割強が高架式になる。

◎新駅周辺の開発加速

 10日に運転を再開するJR常磐線相馬(福島県相馬市)−浜吉田(宮城県亘理町)間で、内陸移設された新地(福島県新地町)、坂元(宮城県山元町)、山下(同)の3駅周辺では新たな街づくりが進む。仙台圏と相馬地方を結ぶ鉄路の復活で、沿線の復興の加速化に期待が高まる。
 移設3駅で最も仙台に近い山下駅周辺はいち早く開発が進み、ほぼ完成した。都市機能を集中させるコンパクトシティーの考え方を導入。駅西側に小学校や保育所、児童館など子育て拠点施設を設け、宅地や災害公営住宅が整備された。
 駅前の商業区画には食品スーパー「フレスコキクチ」とドラッグストア「薬王堂」が開店。将来、1200人以上が居住する街に成長する見通しだ。
 海岸から約1.5キロに移設された坂元駅では約10ヘクタールの水田を造成して宅地40区画を整備、災害公営住宅72戸が建設される。約250人が住む計画で、駅前では郵便局とコンビニが営業を始めた。隣接する約9500平方メートルの商業用区画への施設誘致は難航している。
 新地駅周辺は2018年春の街開きを目指し、大規模な工事が進む。約24ヘクタールをかさ上げして宅地や商業ゾーンを整備し、低炭素型の「環境未来都市」を目指す。商業ゾーンには町で初めてのホテル建設が予定され、温浴施設の計画もある。
 原ノ町(南相馬市)と仙台を結ぶ普通列車は1日45本(上り22本、下り23本)。相馬−仙台間は震災前と同じ本数が確保され、約1時間でつながる。JR東日本仙台支社の松木茂支社長は「住民の方々が元のライフスタイルに戻れるようお役に立ちたい」と話す。


2016年12月03日土曜日


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