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<手腕点検>前町政の事業足かせに

海外研修に赴く中学生と記念撮影する早坂町長(前列右から2人目)=10月下旬、色麻町役場

◎2016宮城の市町村長(19)色麻町 早坂利悦町長

 昨年8月に就任した色麻町の早坂利悦町長(67)に、前町政の肝いり事業が足かせとなって付きまとう。

<年度内にも方針>
 高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」による情報配信事業。老朽化した防災無線の代わりに町内に設けた基地局を通じ、各家庭配備の情報端末に災害情報などを一斉配信する。
 当初、昨年4月に全2000世帯で運用を開始する予定だったが、端末が作動しなかったり音声が聞こえないなど電波状態のトラブルが発覚。設置は約800世帯にとどまり、いまだ全戸配備の見通しは立っていない。
 WiMAX事業を進めた伊藤拓哉前町長(77)は昨年4月、5期20年での引退を表明した。8月の町長選で早坂氏は「町政刷新」を唱え、事業批判を展開。伊藤氏が後継指名した前副町長を破った。
 就任すると、町議会で追及を受けた。「私に言われても、私が始めたわけではない…」。事業撤退を求める意見に、答弁で思わず本音を漏らす場面もあった。
 町は今年11月になってようやく、トラブルの原因究明に向け専門家による第三者検証委員会を設置した。
 早坂氏は「1年間辛抱して見守ったが、好転しなかった」と説明。継続か撤退か、検証結果を経て年度内にも方針を示す考えだ。
 一連の対応には「前町政の尻拭い。仕方ない」との同情と、「就任後すぐに着手すべきだった」といった批判が相半ばする。

<「考え方が古い」>
 町議を通算7期。2011年で町政トップへの転身を目指し、2度目の挑戦で念願をかなえた。
 「皆さんが慣れ親しんだこれまでと、私は違う。そぐわないのであれば職を辞してほしい」。温厚な人柄で知られるが、初登庁では職員約100人に対し強烈なメッセージを発した。
 しかし、言葉とは裏腹に独自性は鳴りを潜める。公約に掲げた町長給与削減や給食費の一部補助、町営結婚相談所の開設を実現させたが、いずれも既視感は否めない。
 結婚相談所は丸森町が02年に開設し、一定の成果を得たものの費用がかさんだことから廃止。15年度に結婚仲介大手への業務委託を決めたばかりだ。
 「考え方が古い」。6期の中山哲町議(66)は「ばらまき型の政策ばかりで5年、10年先を見据えた戦略がない」と手厳しい。町長選で早坂氏を支援した山田康雄町議(69)は「トップとしてビジョンを示し、核となるプロジェクトを打ち出すべきだ」と助言する。
 「地方創生」という御旗の下に自治体間競争が迫られる中、少子高齢化が著しい人口約7200の町に求められるのは大胆な発想力と行動力だ。特産のエゴマなど、地域資源に着目した独創性あふれる施策展開が急務だろう。(加美支局・馬場崇)


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2016年12月04日日曜日


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