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<被災地移住>豊かな暮らしとは…考える

地元で特産化を進めるセリ科のトウキの収穫を体験したツアー参加者ら

 東日本大震災で被災した南三陸町は人口減少対策として、首都圏からのIターン希望者が町内を巡る移住体験ツアーを3、4日、1泊2日の日程で初めて実施した。先輩移住者や農漁業者との対話や収穫体験などを通じて町の魅力を感じ取ってもらった。
 ツアーには東京都や神奈川県から10〜50代の8人が参加した。参加者は、入谷の農業法人「南三陸農工房」を訪れ、震災後に町に移り住んだ埼玉県出身の藤田岳さん(28)から移住のきっかけや農業のやりがいを聞いた。
 藤田さんは「海と山の幸はもちろん、わき水や竹炭など生きるために必要なものが全てそろう。収入が少なくても豊かな暮らしができる」と語った。参加者は、震災後に栽培を始めた漢方にも使われるセリ科のトウキを収穫し、沢で地元農家と会話を楽しみながら根を洗った。
 相模原市の会社員宇都政樹さん(46)は「大自然の中、マイペースで暮らせる環境が素晴らしい」と話した。東京都日野市の大学1年吉本侑加さん(19)は「地域のまちづくりに興味がある。農業体験は非日常の空間で最高に楽しい」と笑顔だった。
 県漁協志津川支所戸倉出張所では環境に配慮した養殖を後押しする水産養殖管理協議会(ASC)の国際認証を取得したカキ養殖場の説明を受けた。生ごみをメタンガス発酵させて液肥をつくる処理施設「南三陸BIO」も訪れ、循環型社会を目指す町の取り組みへの理解を深めた。
 町は8月末、役場第2庁舎に移住支援センターを設置。民間企業に委託し、センターを運営する。ツアーを企画したセンターの運営責任者片山真平さん(32)は「参加者に自然の豊かさや人の温かさに触れてもらい、手応えを得られた。次回のツアーには住民との交流の場を増やしていきたい」と話した。
 町は総合戦略の中で、移住者を増やすなどして2014年に416人だった人口の社会減を、19年に260人未満に抑えることを目標に掲げている。連絡先はセンター0226(47)1880。


2016年12月05日月曜日


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