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<エコラの日々>薪ストーブのある暮らし

絵・木下亜梨沙

 冬到来。わが家は薪(まき)ストーブを愛用して32年になります。
 彼は凸型のリビングのど真ん中に一年中、真っ黒な顔をして偉そうにデーンと構えています。そして朝晩冷え込むようになると「そろそろ俺の出番か」と言わんばかりにアピールを始めます。
 薪ストーブ生活は「子どもたちに生の火を生活の中で見せたい」「ぬくもりを肌で感じさせたい」との思いから、高熱量の厚い鉄製を特注したことに始まりました。
 当初から薪は宮城県丸森町の山から「電話一本」で。山の人が重そうにうなる軽トラに山と積んで運んでくれました。薪棚がいっぱいになると、それはそれはぜいたくで至福の気分でした。
 それを一変させたのが東日本大震災の東京電力福島第1原発事故でした。山の人から「放射能汚染で出荷停止になった」との連絡が入ったのです。
 さあ大変! 残っている薪を大事に使いながら、次の入手先を探す毎日の旅が始まりました。
 燃やせるものなら何でも頂きました。木を切っている人がいれば分けてもらい、自らチェーンソーで枝葉を払い、玉切りをしたり運んだり。薪棚を見掛ければ入手先を聞いたりと、行く先々で自然と薪を探す視線になりましたが、残念ながら全く量が足りません。
 翌年、やむなくペレットストーブを導入しました。燃料はおが粉やカンナくずなど製材副産物から圧縮成形された固形木質ペレットです。ストーブのタンクに入れると自動で給油ならぬ給ペレする仕組み。一日中燃焼していても安全です。この2種類の暖房で冬を乗り切ることができました。
 これをきっかけに、再生可能エネルギーの可能性に目覚めたといってもいいでしょう。鶴岡市三瀬での「東北薪人まつり」に参加し、鳴子温泉では立木を伐採する「新月伐採」のイベントで本格的チェーンソーを体験。昔ながらの馬搬(ばはん)やきこり女子との交流など、多くの薪仲間との出会いもありました。
 悩むより行動することで道は開けることを再確認することとなりました。
 体も心もほっこり緩む心地よさ、加えてCO2を排出しない再生可能エネルギー。手間はかかるけれど、楽しみもそれだけ多い。今年も自然とのつながりを感じる冬を迎えています。
(ACT53仙台・矢吹真理子)


2016年12月05日月曜日


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