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秋田杉で消毒用アルコール 手に優しく高殺菌

秋田杉の粉末を使って消毒用エタノールを製造する食品研の実験設備

 秋田杉を原料にした消毒用アルコールの開発・製造に、秋田県総合食品研究センター(秋田市)が取り組んでいる。精製したエタノールにスギの葉の成分を加え、アルコール濃度が低くても殺菌効果が高く、刺激臭も少ないなどの特長を持たせた。各種施設から工場の生産ラインの消毒まで幅広い用途が期待され、3年以内の商品化を目指す。
 食品研が2012年に研究を始めた燃料用バイオエタノール生成技術を活用。スギの間伐材のチップを粉砕した約20ミクロンの粉に酵素と酵母を加えて発酵、蒸留させ、エタノールを作る。
 アルコール濃度を高める「減圧蒸留」の工程で秋田杉の葉を入れ、葉に含まれる殺菌成分「テルピネン4オール」を抽出。従来、エタノール単体で70〜80%必要だった消毒向けのアルコール濃度は、スギの葉を加えることで50%で同様の効果が得られるという。
 濃度を低くすることで手荒れが軽減でき、揮発しにくくなる利点がある。60%以下は消防法の危険物に当たらず、企業は最小限の設備投資で利用できる。
 食品研の進藤昌上席研究員は「殺菌成分は中性。生産ラインの消毒に使った場合、金属部分が腐食する心配がない。かんきつ類や森のような香りがあり、食品工場や飲食店、介護施設、学校などで幅広く使ってもらえる」と見込む。
 食品研が消毒用アルコールに取り組む背景には、価格面での優位性がある。秋田杉を原料にしたエタノールの製造コストは1リットル当たり約500円。燃料用に用いるには同100円で作る必要がある。消毒用の場合、付加価値を生かし同1300円で販売でき、十分採算が取れる計算になる。
 食品研はスギの殺菌成分を抽出する技術で特許を出願中。進藤上席研究員は「秋田杉の端材や葉は十分な量がある。秋田の新たな産業にしたい」と意気込む。


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2016年12月06日火曜日


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