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<原発事故>畑ワサビ復活へ平地栽培で挑む

試験栽培が実施されている畑ワサビ=伊達市月舘町

 東京電力福島第1原発事故で出荷できなくなった畑ワサビの生産再開に向けた取り組みが、福島県伊達市月舘町などで進められている。林の中で栽培される畑ワサビは放射性セシウムの影響を受けやすく、市内では出荷制限が今も続く。地元の農協などは環境の異なる平地での栽培技術の確立を急ぎ、産地復活を目指す。
 畑ワサビは林の中の木陰を利用して栽培される。花や葉がおひたしや漬物用として出荷され、根は練りわさびの原材料にもなる。伊達市の月舘町、霊山町では40年ほど前に栽培が始まり、東日本大震災前は約300人の生産者がいた。
 地元のふくしま未来農協は2014年、後藤逸男東京農大名誉教授らの協力を得て、試験栽培を開始。表土を剥ぎ取り、セシウムの吸収抑制シートを周囲に敷くなどして育てたが、放射性物質濃度は国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)以下に下がらなかった。
 セシウムが付着した樹木や落ち葉を通った雨水の影響が大きく、林での栽培は困難と判断。15年からは平地にある畑を試験圃場とし、直射日光を遮るシートを設置するなどして栽培した。放射性物質は検出されず、本年度は病害が出やすい2年目以降の生育が順調に進むかどうかを調べている。
 平地での栽培は、かん水用のパイプといった新たな資材が必要で、用地確保も課題となる。
 同農協伊達地区本部の斎藤友和さん(29)は「生産者の高齢化が進んでおり、出荷制限が長引けば産地復活が難しくなる。一日も早い生産再開の道筋を探りたい」と話す。


2016年12月06日火曜日


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