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<ほっとタイム>震災前の歴史を刻む

語り手の話を隣で聞く阿部さん(中央奥)

◎陸前高田の昔語り

 陸前高田市の飲食店「りくカフェ」で月に1回ほど、昔語りが開催される。「高田は大都会だと、よその人に驚かれた」。80、90代の高齢者が、若い頃の同市の様子を生き生きと話す。
 聞き手を務めるのは、地元災害FMの元パーソナリティーで同市の阿部裕美さん(49)。優しくうなずきながら、話を引き出す。
 東日本大震災で甚大な被害が出た同市で、阿部さんは両親を亡くした。夫と経営する和食店や実家も失った。「ゼロからのまちづくり」をうたい、土をかさ上げしてできる街。一方で、これまでの営みも埋められてしまうような気がした。
 「震災だけではなく、歴史も伝えないと」。今年3月、知人らと昔語りに取り組み始めた。会員制交流サイト(SNS)で発信。映像や冊子にも残していく。
 祭り、高田松原…。語り手の話に誘われ、聴衆もそれぞれの記憶をたどる。店内が温かい雰囲気になる。
 「貴重な話を共有し、犠牲になられた方々の思いと共に、かさ上げ地に上がりたい」。新市街地でもう一度、阿部さんは店を出す。
(大船渡支局・坂井直人)


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2016年12月08日木曜日


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