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<汚染廃棄物>宮城県 試験焼却の安全性強調

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物を巡り、宮城県が市町村の焼却施設での一斉処理方針について説明を重ねている。試験焼却を実施したい県は開会中の県議会11月定例会や市町村の説明会で安全性を強調するが、住民の不安や反発は根強い。
(報道部・丹野綾子)
 「環境省の説明で、焼却施設に設置されたバグフィルターの放射性セシウム除去率はおおむね99.9%。既に汚染廃棄物の焼却処理を行った県内外でも排ガス中のセシウム濃度が基準を超えた例はなく、安全を確保しながら処理できる」
 5日の県議会本会議一般質問で、焼却処理の安全性を問われた佐野好昭環境生活部長はこう答弁した。
 国の特措法は、排ガスのセシウム濃度の基準を70年間吸い続けても年間1ミリシーベルト以下の被ばく量になるよう設定。県は一般ごみと混ぜて燃やすことで基準を超えないようにする方針で、施設周辺の空間線量などの監視強化も検討している。
 各市町村は議会や住民向け説明会を開催。市町村の要請を受け県や環境省の担当者が出席し、石巻市や白石市などで本格焼却の前段となる試験焼却への理解を求めた。
 住民からは不安の声が相次ぐ。7日の栗原市の説明会では「農家が保管する汚染稲わらが片付けばありがたいが、焼却は不安」「風評被害で農産物の価格が下がる」などの意見が出た。
 東北電力女川原発の再稼働に反対する市民団体なども、県に一斉焼却の再考を求める。2日に要望に訪れた15市民団体は「焼却で空気中にセシウムが拡散される」などと訴え、署名活動も始めた。
 11日には仙台市内で、汚染廃棄物を処理した宮古市の焼却施設周辺の調査に当たった医師の学習講演会を開く。医師は「バグフィルターがセシウムを99.9%除去できるという環境省の主張には根拠がない」と指摘している。
 県は今月下旬に開く市町村長会議で、試験焼却への賛否を確認する。
 村井嘉浩知事は「1カ所でも『協力できない』と言うところがあれば前に進まない」と全35市町村に同意を求めている。しかし既に受け入れを表明した自治体の一方で検討段階のところもあり、全ての同意が得られるかまだ見通せない。

[汚染廃棄物の県内一斉処理方針]国の基準を下回り、市町村が処理を担う汚染廃棄物は県内に約3万6000トン(未指定分約2000トンを含む)保管されている。県は11月3日の市町村長会議で、市や広域行政事務組合所有の15焼却施設で一斉処理する方針を提案。半年程度の試験焼却で安全性が確認できれば、来年夏以降本格焼却に入る。


2016年12月10日土曜日


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