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<奇跡の一本松>ついたて制作「復興」の力に

「復興の一本松」のついたてを見る制作した菅原孫三さん(左)と信さん=9日、東根市泉郷

 山形県東根市の彫刻家菅原孫三さん(82)が東日本大震災で残った岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」をモチーフにしたついたてを制作し、12日、岩手県に贈呈する。ついたてに施した一本松の彫刻は厚さ4ミリの板に鉛筆で下絵を描き、約30種類のノミを使って彫り上げた。菅原さんは「ついたての一本松を見て、復興に向けて力を出してほしい」と願っている。
 ついたては高さ180センチ、横120センチ。材料にケヤキを使い、「復興の一本松」と名付けた。今年6月に制作を始め、完成まで半年を要した。
 菅原さんは15歳で建具職人の道に入り、全国建具展示会彫刻の部で農林水産大臣賞を受賞するなど山形県を代表する名工の1人。
 制作を思い立ったのは、震災翌年に陸前高田市を訪れたのがきっかけだった。津波に耐えた一本松を前に「堂々と立っている姿に心を打たれ、この風景を作品として後世に残したい」と発起した。
 制作の過程では一本松が立体的に見えるように腐心した。下絵の構図を何度も書き直したり、遠近の違いを彫りの深さで表現するなど広がりのある作品に仕上げた。松の葉の部分は細かい作業が続き、ノミの入れ方に細心の注意を払ったという。
 制作を進めるうちに、岩手の復興のシンボルを岩手県民に見てもらいたいと思うようになり、活動を支援する菅原信さん(84)=東根市=らと共に、かつてフクロウの彫刻を贈呈して縁があった吉村美栄子山形県知事に相談。吉村知事が岩手県の達増拓也知事に橋渡しをし、贈呈が決まったという。
 岩手県庁で行われる贈呈式には、達増知事も出席する予定。


2016年12月10日土曜日


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