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<手腕点検>「全方位外交」したたか

大会名誉会長の三遊亭円楽さん(中央奥)と、町主催のゲートボール交流大会で始球式に臨む村上町長=11月10日、蔵王町

◎2016宮城の市町村長(20)蔵王町 村上英人町長

 軽いフットワークと気さくな人柄。宮城県蔵王町の村上英人町長(64)は、その持ち味でしたたかに事を運ぶ。
 2020年東京五輪に向けた西太平洋の島国パラオとの交流事業は、最近の会心の一手だろう。

<五輪合宿に道筋>
 太平洋戦争後、パラオからの引き揚げ者が町に入植した歴史から、「職員の提案に食い付いた」(関係者)。在日大使館と交渉を重ね、来日した大統領にも直談判。国の「ホストタウン」構想に宮城県内で初めて名乗りを上げ、今年1月にパラオを訪問した。政府要人と会い、選手団の事前合宿、子どもたちの相互派遣に道筋を付けた。
 茨城県常陸大宮市と連携し、推進組織を近く設立する。村上町長は9日の町議会で「年度内の基本合意書の締結を目指し準備を進めている」と自信を見せた。
 地元スキー場の営業マン、町議3期を経て2004年の町長選で初当選。就任当初から行財政改革に取り組み、昨年度末までに町の借金を145億円から89億円に圧縮した。
 9月の町長選では29年ぶりの無投票で4選を決めた。「全方位外交」を自負するも、町議会からは「本音をなかなか明かさず、議論の土俵に上がってくれない」との批判がある。
 県町村会長、全国治水砂防協会副会長など公的な役職が多い。よく知る首長は「政策ではなく、人脈で政治をする昔ながらのタイプ」と評する。
 出張が多く、職員からは「仕事が滞る」と不満がくすぶる。村上町長は「省庁に何度も出向けば、官僚と情が通う。役職が多く苦労もあるが、町のプラスになっている」と反論する。

<ジオパーク停滞>
 4期目に入り、持論の「農業と観光のまちづくり」は具体的成果が問われる。
 ナシ、サトイモなど作付面積で県内一の農産物が10品目を超える一方、生産者が高齢化し、荒れた農地が増えつつある。稲作農家の佐藤長成町議会議長(68)は「後継者不足は深刻。町の特性を生かし、バランスの取れた農業振興に力を入れてほしい」と注文する。
 観光面では「お釜」や遠刈田温泉、紅葉や樹氷と資源豊富だが、イベントは散発的。昨年の蔵王山(蔵王連峰)への火口周辺警報が尾を引き、ジオパーク(地形や地質を生かした自然公園)構想は棚上げ状態だ。
 町観光物産協会の門脇次男会長(59)は「方向性が決まっているのに、官民で意見交換し結果を出そうという雰囲気が役場全体に乏しい」と歯がゆさが募る。
 「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉(ほ)めてやらねば 人は動かじ」
 旧海軍の山本五十六連合艦隊司令長官の遺訓を新人職員に説くという村上町長。町を一枚岩で動かすことができれば、地域に潜在する魅力が高まるはずだ。(白石支局・瀬川元章)


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2016年12月11日日曜日


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