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<常磐線>旧山下駅前世帯数激減 面影失う

旧山下駅近くの自宅跡に立つ菅野さん。周辺には空き地が目立つ=山元町山寺

 JR常磐線が宮城県山元町内を再び走るようになった10日、移設した山下駅周辺が沸き立つ一方、震災前は町内最大の住宅地だった旧駅周辺は静まりかえっていた。
 山下駅から東へ約1キロの旧駅に向かうと、くしの歯が欠けたような街並みが広がる。駅があった花釜行政区は、内陸移設により鉄路の復活に時間がかかったこともあり、震災前の1023世帯が455世帯に激減。町の人口も、震災前のおよそ4分の3の約1万2500になった。
 旧駅近くに夫らと住んでいた菅野寛美さん(72)は津波で自宅が大規模半壊。2013年、同居していた長女の立石由香さん(46)とその夫の安男さん(50)が隣の宮城県亘理町に自宅を新築し、菅野さん夫婦も一緒に住み始めた。
 娘夫婦が亘理町を選んだのは安男さんの仙台市への通勤と、震災当時、市内の特別支援学校に通っていた孫のためだった。菅野さんは「列車再開の見通しが立たず、家族が一緒でいるためには、古里を離れるしかなかった」と語る。
 旧駅周辺に残った町民は、新市街地の発展を複雑な思いで見ている。
 「道路一つとっても、まったく違う」
 花釜行政区の岩佐年明区長(70)は嘆く。新市街地の大通りには、車道の脇に歩道だけでなく自転車専用道まである。
 「旧駅前の県道は震災前のままで歩道もなく、子どもたちが心配。均衡ある街づくりをしてほしい」。岩佐さんが、住民の思いを代弁した。


2016年12月11日日曜日


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