岩手のニュース

<山田線脱線1年>豪雨に負けず復旧急ぐ

樹木が伐採され、仮設階段が設置された崩壊斜面。中央のブルーシートが脱線車両

 岩手県宮古市門馬のJR山田線松草−平津戸間で普通列車(1両)が崩れた土砂の上に乗り上げて脱線した事故は、11日で発生から1年となる。JR東日本盛岡支社は復旧工事を進めており、来年10月にも盛岡−宮古間(102.1キロ)の全区間で運転再開を目指す。同線は今年8月に台風10号豪雨でも被災したが、同支社は「工程を揺るがす影響はない」として工事を急いでいる。
 事故は前日から雨が降り続いた昨年12月11日夜、JR盛岡駅から約30キロ東で発生した。2日後には崩壊斜面上部で亀裂が見つかったため、同支社と東北森林管理局が今年9月に斜面の安全対策工事に着手した。
 現場には今も脱線した車両がブルーシートに覆われて残る。JRは工事のため斜面の樹木を伐採。線路沿いの閉伊川には現場と国道106号をつなぐ長さ約30メートルの仮設橋も整備し、重機と作業員が出入りする。
 斜面上部は国有林で工事は森林管理局が担当。斜面の動きを抑えて亀裂の拡大を防ぐため、今月6日に長さが最大で21メートルのくい約140本を打ち始めた。約1万2000立方メートルの土砂も撤去する。担当者は「天候や地盤状態など不確定要素は多いが、今のところ工事は計画通り」と話す。
 JRは斜面上部の安全が確認でき次第、脱線車両をクレーンで撤去する。来年4月ごろに斜面下部に約180本のくいを打ち込み始め、表土約1000立方メートルを撤去する。工事費は双方で計10億円を見込む。
 8月30日の台風10号豪雨では、宮古市の川内−茂市間(25.5キロ)の線路上に土砂が流入して運休。今月9日に運転を再開した。脱線現場は雨量が比較的少なく被害はなかった。
 JR東日本盛岡支社の大内敦支社長は「来年秋の復旧に向けた工期に遅れはない。沿線住民や利用者に迷惑を掛けている。一日も早い復旧を目指す」と話す。
 宮古市企画部の山崎政典部長は「盛岡から鉄路を乗り継いで来る観光客が減少しており、経済面で影響を受けている。復旧後は市としても利用促進策を打ち出したい」と全線運行の再開に期待する。

 ◇JR山田線脱線事故の主な経過
2015年
12月11日 午後7時半ごろ、車両が脱線、16人がけが
   13日 JRが崩壊斜面上部に亀裂発見
   21日 地質調査のためボーリング開始
2016年
 2月11日 ボーリング終了
 3月 4日 JRや岩手県など関係機関による協議会が初会合
 5月12日 JRが復旧工事の工法発表
 7月 7日 JRが17年秋の全線開通見通し発表
 8月30日 台風10号豪雨で川内―茂市間が被災、運休
 9月14日 東北森林管理局が斜面上部の整備に着手
12月 9日 川内―茂市間が運転再開


関連ページ: 岩手 社会

2016年12月11日日曜日


先頭に戻る