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<仙台いやすこ歩き>(48)野菜スイーツ/抑えた甘味くつろぐ体

 クリスマスの飾りが輝くJR仙台駅から、今回は仙石線に乗ってのいやすこ歩きだ。「昔、クリスマスケーキといえばバタークリームだったよね」などとケーキ話に花を咲かせていると、あっという間に目的の陸前高砂駅。
 駅の隣にJA仙台農産物直売所「たなばたけ高砂店」があり、野菜スイーツを作って売っているというのだ。「野菜スイーツってどんなのかな」とわくわく顔の画伯。クリスマスケーキを待つ子どものような気分で、2人はまず事務所へ。迎えてくれたのは副店長でスイーツ担当の小賀坂行也さん(38)だ。
 「この直売所は2011年10月にリニューアルオープンしました。新スタートを機に、野菜の新たな食べ方の可能性を広げたい、野菜嫌いな人にも食べてもらいたいと、野菜スイーツ開発に取り組みました」と話す。
 ゼロからのスタート。専門学校を卒業したばかりのパティシエ2人が東京で3カ月間の研修を受け、研修先の監修の下、野菜のスイーツ工房「メゾン・ド・ガトーTANABATA」の誕生にこぎ着けたという。
 最初はカボチャムースなど数種類。それが評判となり、今では15〜20種類に。6人に増えたパティシエが、食べやすさとヘルシーに気を配ったスイーツ作りに専念している。
 工房に案内していただいた。何と6人全員が女性、しかも若い。その一人で5年前から野菜スイーツ作りに携わってきた山本絢加さん(25)は、「野菜によって色、味、食感のどれを生かすかが違います。また、生で使うのがあったり、下ごしらえしたりと、使い方や工夫次第で意外と野菜はケーキになるんですよ」と、にこにこ顔。
 それぞれが新作を考え、その中からこれぞと思うものを試作する。「何回も試作して、OKが出るとうれしいですね」
 1番人気は「グリーンショートトマト」。トマトを使ったショートケーキといったらいいだろうか。トマトはちょうどいい甘味のものを選ぶのがポイントだそう。何せ、目の前にとれたて野菜が並ぶ直売所。開店前にスイーツに適した野菜を選ぶのが朝一番の仕事だという。
 ショーケースにはゴボウ、ジャガイモ、ホウレンソウなどを使ったケーキやムース、仙台産大豆をお菓子にした「仙大豆」シリーズ、野菜クッキーなどいろいろ。「野菜嫌いのうちの子も、このクッキーなら食べるんですよ」と小賀坂さん。ケーキ購入となった途端、いやすこ2人は迷うことしきりだ。
 やっぱりこれは欠かせないと買ってきたのが、グリーンショートトマト。コマツナを練り込んだ野菜色のスポンジ、トマトが所々に見える生クリームの6層に、ちょこんと載っているプチトマトが愛らしいケーキだ。
 サクッとフォークを入れて口へ。あぁ〜、体がくつろぐ幸せ感。抑えた甘味の中に、ほのかなトマトの味が優しいバランス。「農家さんに直接話を聞くと、もっと頑張って野菜を生かしたいと思うんですよ」と話してくれた若きパティシエたちの笑顔も重なり、さらに心もほっこり、元気になっていく。

◎おぼえがき/古代に誕生近世で花開く

 スイーツの誕生は古代のエジプト時代。パンが生まれ、それに果実などを加えて次第に菓子らしきものに発展したとされる。ギリシャ時代にはバースデーケーキ、婚礼菓子も生まれている。近世になりルネサンス時代のイタリア、ブルボン王朝のフランスで菓子文化は大きく花開いた。
 ショートケーキは国によって形態が異なり、日本でおなじみの「スポンジケーキにホイップクリーム、イチゴ」というスタイルのショートケーキは大正時代、製菓会社不二家が発売して広まったとされる。考案したのは不二家の職人、フランスから帰国した菓子職人など諸説がある。
 「ショート」の語源についても、短時間で作れる、日持ちがしないという意味の「短い」だとする説のほか、「もろい」「サクサクした」に由来するという説、ショートニングを使うからという説などさまざまある。
 野菜スイーツを販売する「メゾン・ド・ガトーTANABATA」は高砂店のほか、エスパル仙台店もある。
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 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2016年12月12日月曜日


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