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<震災5年9カ月>記憶たどり思い出バス巡る

震災の爪痕が残る荒浜を走る貸し切りバス。奥は震災遺構として保存される旧荒浜小校舎

 東日本大震災の津波で暮らしの息遣いが消えた仙台市若林区荒浜で11日にあったバスツアーは、参加した元住民らが震災前の荒浜での暮らしを思い出すきっかけになった。震災後になくなった停留所跡に、本物そっくりのオブジェ「偽バス停」をこっそり置いた若い美術作家の試みが評判を呼び、「1往復だけの市バス」復活が実現。多くの人が荒浜への思いをつないだ。
 ツアーは任意団体「3.11オモイデアーカイブ」(仙台市)と市が主催。応募した一般参加者と荒浜の元住民ら計約50人が乗車した「満員バス」は、JR仙台駅から、かつての終点「深沼」を目指した。
 午前10時すぎ、「深沼海岸」の行き先を表示したバスが終点に到着。この日のために市交通局がバスの電光掲示のデータを復元した。元住民らは「ようこそ あらはま」の横断幕で歓迎し、小雪が舞う中、海岸清掃をしたり餅をついて食べたりし、荒浜の思い出を語り合った。
 荒浜の自宅を失った太白区の佐藤豊さん(79)は「バスからの眺めは歩いている時と違い、キノコ採りした林など昔の記憶がよみがえった。楽しいことだけ思い出そうとしたが、親族を亡くした悲しみも心に残る」と語った。
 元住民の佐藤利幸さん(79)は「昔の荒浜は暮らしやすかった。風景は変わったが、いつまでも忘れないでほしい」と話した。
 「偽バス停」を制作し、停留所跡など計10カ所に置いた宮城県利府町の美術作家佐竹真紀子さん(25)は「多くの協力を頂き、本当にバスが走ったのはうれしい。今後も継続できれば」と感謝した。


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2016年12月13日火曜日


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