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<被災地スポーツの力>ボッチャ普及へ全力

円田小で児童にボッチャのルールを説明する村上さん

 リオデジャネイロ・パラリンピックのボッチャのチーム(脳性まひ)で銀メダルに輝いた日本代表のヘッドコーチ、村上光輝さん(42)=仙台大大学院1年、白河市=が、東日本大震災の被災地などで競技の普及拡大に力を入れている。競技への関心が高まった好機を生かそうと、各地で体験会を開催。2020年の東京パラリンピックでの金メダル獲得に向けた礎づくりに懸命だ。

<児童に体験会>
 「難しいけど楽しい」。ボールを投げる子どもたちの歓声が響いた。13日に宮城県蔵王町円田小(児童79人)で開かれた体験会。村上さんは5年生13人に競技のルールを説明し、腕が不自由で投げられない障害者が使う勾配がついたレーン「ランプ」も使いながら、実際に試合を楽しんでもらった。「誰でもできるけど奥が深い競技の魅力が伝わってうれしい」と村上さんは喜ぶ。
 ボッチャは、投げたボールがどれだけ的のボールに近づけるかを競う。手持ちのボールの重さや材質を規定の範囲以内なら自由に変えることができ、ボールの組み合わせや投じる位置を決めるなど、複雑な戦略の探り合いが展開される。
 村上さんは福島市出身。福島東高と順大でサッカーに打ち込み、大学4年の時からボランティア活動でボッチャの普及活動に携わった。2009年から日本代表コーチとなり、12年から日本ボッチャ協会の強化指導部長も務める。
 普及への熱意は震災を機にさらに増した。以前から競技が盛んで、東京電力福島第1原発事故で全村避難が続く福島県飯舘村の住民の仮設住宅に何度も足を運び、一緒にプレーを楽しんだ。「久々に笑えた」と感謝され、「楽しんで関心が高まることが競技人口を拡大させ、選手強化にもつながる」と気付いたという。

<金メダル目標>
 勤めていた福島県内の特別支援学校を今年3月末で退職。指導に専念し、臨んだリオ・パラリンピックでは相手の戦術をデータ化して作戦を組み立て、初のメダル獲得に貢献した。「『結果を出すことが競技の普及につながる』と信じて頑張ってくれた」と選手たちをねぎらう。
 「もっと多くの人に楽しんでほしい」。日本代表が共有した思いは着実に広がっている。全国の企業や小学校などでの体験会の依頼が相次ぎ「前は多くて月1回だったのが、今は週2回くらい入っている」と反響を喜ぶ。可能な限り出向き、魅力を伝え歩いている。年明けには熊本地震の被災地でも体験会を開く。
 日本ボッチャ協会の団体登録者数は昨年3月現在で410人。「健常者を含めて数万人まで増やしたい。地元の東北からも金メダリストが出てほしい」。被災地の力が目標達成を後押しすることを願う。(原口靖志)


2016年12月17日土曜日


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