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<汚染廃棄物>試験焼却 住民の不安根強く

昨年実施した試験焼却で、基準以下の汚染廃棄物を焼却炉に投入する仙台市の収集車。県の一斉焼却処理方針に自治体の判断は揺れている=2015年7月、仙台市泉区

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物の試験焼却受け入れを巡り、宮城県内の市町村が難しい判断を迫られている。住民の不安は根強く、地域ごとに個別の事情も抱える。村井嘉浩知事が掲げた「全員一致」の方針が重くのしかかる。
 仙南2市7町で構成する仙南地域広域行政事務組合の新焼却施設「仙南クリーンセンター」は今月、試運転を始めたばかり。立地する角田市の大友喜助市長は試験焼却について「現時点では判断できない。住民の理解が得られ、試運転でセンターの安全性が確認されることが必要」と語る。
 亘理名取共立衛生処理組合の焼却炉と最終処分場がある岩沼市の菊地啓夫市長は受け入れに賛成するが、「処分場は来年9月で満杯になる。県外を含めて受け入れ先を探しているが、汚染廃棄物の焼却灰だけに見つからない」と明かす。
 仙塩地区の1市3町でつくる宮城東部衛生処理組合は、焼却炉と処分場を持つ利府町の判断が鍵となる。鈴木勝雄町長は「東日本大震災のがれき処理を他市町に手伝ってもらったので、引き受ける」と前向きだ。
 「市民の理解を得るのは難しいと考えている」と語るのは、3500トンの廃棄物を抱える栗原市の佐藤勇市長。賛否の明言は避けつつも、消極的態度を示す。
 市は独自に汚染牧草の堆肥化を検討している。国の基準を超す指定廃棄物の最終処分場候補地に挙がった経緯があり、焼却に対する住民の不信感は大きい。佐藤市長は「住民の声を聞く限り、慎重にならざるを得ない」と語る。
 4700トンの廃棄物がある登米市の布施孝尚市長も「慎重な判断が必要」と言葉を選ぶ。市は市内に新しい焼却炉建設を計画中で、昨年の住民説明会で布施市長は「汚染廃棄物は燃やさない」と述べていた。栗原市と同様、堆肥化の実証実験を検討している。
 市内にある廃棄物の処理が昨年終わったため、一斉焼却が決まれば他自治体の廃棄物を受け入れ、処理に協力することになる仙台市。「試験焼却に限り、昨年の実績を参考に検討する」と述べるにとどまる。
 仙台市の最終処分場がある富谷市は「仙台市の対応を待つ」と自らの判断を避けている。ある自治体幹部は「全市町村に一斉処理の合意を求めるハードルは高すぎる」と、県の進め方に疑問を呈する。
 気仙沼市の菅原茂市長は「各市町村の判断は廃棄物と焼却炉、処分場の有無で分かれる。廃棄物をよそに持っていこうという声は少なく、なるべく焼却以外での処理を望む流れになっている」と現状を指摘。「焼却に回す量を減らしてほしい」と話し、多くの市町村が抱える思いを代弁する。


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2016年12月19日月曜日


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