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<秋田新文化施設>県市連携の利点不透明

新文化施設の建設予定地となっている秋田県民会館

 秋田県と秋田市が同市中心部に建設を計画する新文化施設に疑問を覚える。県と市は共同で建てることでそれぞれの財政負担が軽減されると言うが、規模と総事業費は当初の説明より膨らみつつある。開会中の県議会定例会(12月議会)で与党の自民党からも異論が出て、関連予算案が否決される可能性がある。県と市の連携のメリットが見えにくい今、拙速な対応は避け、計画の妥当性を再考すべきだ。(秋田総局 今愛理香)

 県は、市と連携して新文化施設を建てるメリットとして、主に財源面を強調する。市が策定中の第2期中心市街地活性化基本計画にこの施設を盛り込めば、中心市街地活性化事業に国が5分の2を補助する社会資本整備総合交付金の対象となるからだ。
 県民会館と市文化会館を統合することで、事業費の9割を起債できる公共施設最適化事業債が適用されることも挙げる。
 だが、県の説明を聞く限り、疑問は積み重なったままだ。
 その一つが膨らみ続ける事業費。県が県議会定例会(9月議会)で示した概算事業費は約200億円だった。その後、専用駐車場を建設予定地に隣接する秋田和洋女子高の敷地に建てる案が浮上。全体の整備費は校舎の移転費などを含めて226億〜231億円に増えた。
 だが、肝心の市の中心市街地活性化基本計画は市議会で審議中。国への計画申請すら終えていない。新文化施設の議会での審議は県、市が同時並行で別々に進めるため、財源を含む全体像が定まらず、計画に不確定要素が多く残る。
 県は、県民会館と市文化会館を統合することで「維持管理費が抑えられる」と主張する。果たして本当なのか。
 市の試算によると、新文化施設の年間維持費は約4億850万円。これに対し、2015年度の2施設の年間維持費は計3億8234万円で主張と異なる。公共施設最適化事業債が適用されても結局は借金が増えるだけだ。
 県と市が連携することにより、逆に建設地といった選択肢が狭まり、事業費や計画に無駄が生じているのではないか。同様に文化施設の建設を進める山形県の計画(延べ床面積約1万6000平方メートル、事業費約143億円)と比べても、過大な投資になるのは明らかだ。
 県議会、市議会での議論も十分とはいえない。県と市は当初22年度としていた開館予定を21年度内に前倒しした。急ぐ理由は、交付金の支給が「中心市街地活性化基本計画の事業期間である21年度までの施設完成が条件」(県文化振興課)だからだ。そのため、開会中の議会に事前調査費として県は1171万円、市は807万円をそれぞれ計上し、17年度早々にも基本設計に着手したいとする。
 県民の負担軽減を目指して交付金を活用するという考えは理解できる。だが、巨額の施設を後世の評価に耐えられる「財産」として残すため、性急な判断は許されない。一度立ち止まってでも、身の丈に合った計画かどうかを県民と共に考え直す必要がある。

[新文化施設]老朽化した県民会館(秋田市千秋明徳町)の建て替えに伴い、市文化会館(同市山王7丁目)と統合し、2000席と800席のホールを整備する。延べ床面積は2万1500平方メートル。地上3階、地下2階。専用駐車場は地上2階で200台を収容予定。


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2016年12月19日月曜日


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