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<高浜1、2号機>原発延命の町 歓迎と不安

若狭湾に面して建つ高浜原発。建屋や設備がひしめき合う敷地内で安全対策工事が進む。右手前から1、2号機。左奥が3、4号機=福井県高浜町

 「老朽原発」に地元はどう向き合っているのか。運転開始から40年以上が経過し、6月に60年までの運転延長が国内で初めて認められた関西電力高浜原発1、2号機が立地する福井県高浜町を訪れた。町は原発による経済的恩恵が続くことを歓迎しつつ、東京電力福島第1原発事故後に住民が抱える潜在的な不安や、実効性ある広域避難計画といった課題を抱えていた。(報道部・村上浩康)
 福井県の西南部、若狭湾に突き出た半島の狭い谷あいに高浜原発はある。「原子炉容器や構造物の劣化評価で、60年運転に問題がないことを確認した」と関電の担当者が淡々と説明した。
 福島の事故前、関電の発電電力量の半分を原発が占め、原発依存度は東北電力(2割強)など大手電力の中で最も高かった。原発の「延命」は、再稼働と並ぶ経営の最重要課題だ。
 関電は高浜原発1、2号機について、1990年代から給水設備、タービン、蒸気発生器といった大型設備を順次更新。「最新機と同等の信頼性を確保した」と強調する。現在は、2160億円をかけて全長1300キロのケーブル防火対策などの安全対策工事を進めている。
 「原発は最大の雇用創出先。国が安全と認めたものは受け入れる」。高浜町商工会の田中康隆会長は運転延長を歓迎する。
 原発は人口約1万1000の町に深く根を張る。労働人口の30%が何らかの形で原発から収入を得ている。最も町を潤すのは、運転時よりも多くの人が関わる定期検査。平時は年2、3基が定期検査に入り、1基当たり2000〜3000人の関係者が地元に金を落としていった。
 福島の事故後、売り上げが6〜7割程度に落ちた民宿や商店には、将来への不安が広がる。
 町当局も原発の延長に大きな異存はない。課題は事故時の広域避難だ。15年12月に策定した広域避難計画に基づき、今年8月に実施した防災訓練では、兵庫県への県外避難の訓練を初めて行ったが、複合災害や要支援者といった具体的な対応はこれからだ。
 町防災安全課の担当者は「福島事故は原発のリスクを痛感させた。住民の考えは複雑に入り交じっている」と漏らす。
 老朽原発の延命は、いずれ来る「寿命」も浮かび上がらせた。1、2号機が運転60年を迎えるのは2034年と35年。仮に3、4号機が延長を認められても45年には全基が止まる。商工会の田中会長は廃炉をにらみ「原子力保安大学校」の誘致を掲げる。
 15年に「ふるさとを守る高浜・おおいの会」を設立し、再稼働反対を訴える東山幸弘代表(70)は、町の空気をこう説明する。「原発があることへの不安と、原発がなくなることへの不安がある」

[高浜原発]関西電力が福井県高浜町に所有する加圧水型炉。1号機は74年、2号機は75年に運転を開始し出力各82万6000キロワット。85年運転開始の3、4号機は各87万キロワット。関電は2014〜15年に1、2号機の特別点検を行い、原子力規制委員会に新規制基準適合性審査と延長審査を申請。今年6月に認可を得た。安全対策工事を経て19年秋以降に順次再稼働する方針。3、4号機は審査で新基準に適合したと判断され16年1〜2月に再稼働したが、3月に大津地裁が決定した運転差し止めの仮処分により停止している。


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2016年12月19日月曜日


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