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<回顧みやぎ>図書館集客好調 次に生かせ

年末年始も無休で開館する多賀城市立図書館

 東日本大震災から6年目を迎えた2016年。宮城県内では、交通インフラを中心に被災地の復興が進む中で、復興工事を巡る事件もあった。新市誕生や商業地集積に沸く一方、政治家のモラルが問われた1年でもあった。現場の記者が振り返る。

◎2016振り返る(2)多賀城市立図書館の移転開館

<年内にも120万人>
 一つの建物が、市内外の人の流れを大きく変えた。
 多賀城市がJR仙石線多賀城駅前に建設した再開発ビルは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とする市立図書館などを中心に、連日3000人以上が来館。年内には、当初予定より3カ月も早く年間目標120万人に達する見通しで、予想以上の数字に驚く市職員も少なくない。
 「年中無休で午後9時半まで開館している図書館、書店、カフェ、レストラン…。行ってみたい場所が複数あることが大事」とする市立図書館の中林奨マネジャー(CCC)の説明に納得した。
 貸し出し実績は大きく伸びた。人数は月平均で5.3倍、冊数は約4倍。市生涯学習課の萱場賢一課長は「利用者アンケートで『図書館を人に勧めたい』と答えた人が目立った。図書館が市民の誇り、自信につながっている」と手応えを語る。
 誘致当時、CCCは公立図書館の指定管理事業を始めて間もなくで、他自治体の先行例では資料購入などで問題点も指摘された。多賀城では市と慎重に準備を重ね、今のところ問題のない運営が続く。
 秋以降は意欲的なイベントも増えた。スタッフルームには図書館の将来像として、市の目標「東北随一の文化交流拠点」を超えた「東北一の文化交流拠点」が掲げられている。中林マネジャーは「指定管理事業のスタート当初は『ど素人』だったが、ここまで来た」と自信を見せる。

<利用者が意見を>
 図書館運営は、行政やスタッフだけが担うものではない。従来の図書館に親しんだ利用者には使い勝手が悪くなった点もある。スタッフは利用者の声を聞いて資料配置などを修整している。図書館を育てる観点で、遠慮なく直接意見を伝えてみてはどうだろう。
 市立図書館に対する周辺の図書館関係者の関心は高い。スタッフ同士が気軽にこうした人々と情報交換ができる枠組みがあってもいい。
 市立図書館の指定管理費用は最大で年間約3億円。市は、少なくない負担で生み出した人の流れが続くうちに、文化を生かした具体的な次の一手を打ち出す必要がある。(多賀城支局・佐藤素子)

[メモ]多賀城市は、駅前再開発による中心市街地形成を目指し、再開発ビルA棟に市立図書館を移転した上でCCCを指定管理者とし、ビル全体の設計や出店構成も任せた。同時期に完成した近くのB棟には子育て支援センター、保育所など福祉施設が入居する。


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2016年12月21日水曜日


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