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<政活費不正>山形知事選巡り駆け引き

政活費の不正支出で辞職した阿部氏への対応について話し合った山形県議会議会運営委員会=11月8日

 山形県議会の政務活動費(政活費)の不正支出で議員辞職した阿部賢一氏(64)の刑事告発を巡って、ねじれ現象が起きている。阿部氏が所属していた自民党が告発を主張。対する民進、社民党系の「県政クラブ」が告発見送りを求める。一見正反対に思える対応の背景にあるのが山形県知事選。候補擁立を見送りながら、3選を目指す現職吉村美栄子氏(65)との対決姿勢を貫く自民党にとっては、吉村氏を支援してきた阿部氏を攻撃材料に吉村氏本人に打撃を与えたいとの思惑があるとされ、政治的な駆け引きが透けて見える。

<一度は決着>
 11月25日の県議会議会運営委員会。野川政文議長が「刑事告発を検討したい」と提案。両会派とも「異議なし」と応じた。
 すんなり決着したかに見えた刑事告発だが、今月15日になって吉村氏を支える県政クラブが一転して告発見送りを主張。阿部氏が不正支出した政活費を返還する意向を示していることや社会的制裁を受けていることなどを理由に挙げた。
 県政クラブの阿部昇司代表は「(告発見送りと)知事選に何ら関わりはない」と繰り返すが、一連の経緯には2017年1月5日告示、22日投票の知事選と切っても切れないものがある。
 そもそも、阿部氏の不正支出が発覚した9月18日は、県議会の代表質問で吉村氏が3選立候補を表明したわずか2日前。その後、阿部氏の政活費の一部が吉村氏の後援会発足式の会場費に充てられていたことが判明し、吉村陣営を揺さぶった経緯がある。

<解明を期待>
 阿部氏の刑事告発を強く求める最大会派の自民党は「会派に所属した県議の不正支出。良識の府として、しっかり対応する必要がある」(金沢忠一幹事長)と、表向きは党の自浄能力を強調する。
 だが、その裏では「知事後援会の会場費負担のほかに、まだ解明されていない阿部氏の不正支出と吉村氏との接点を探そうという狙いがある」と別の自民党県議が打ち明ける。
 2011〜15年度の阿部氏の政活費支出のうち、議会事務局の調査で使途が判明しなかった相当数の領収書が捜査機関に渡り、使途が解明されることを期待しているというのだ。
 阿部氏は吉村氏が初当選した時からずっと支援してきた自民党内の異色の存在。県政クラブのある県議は「吉村氏を一緒に支えてきた阿部氏に対する温情がある」と漏らす。
 加えて、自民党側のもくろみへの警戒心もあって刑事告発に異を唱えるに至った、と議会内では受け止められている。
 刑事告発するのか否か。注目の結論は、一任を受けた野川議長が21日の議会運営委員会で示す見通しだ。


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2016年12月21日水曜日


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