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<被災地スポーツの力>夢持つ大切さ伝える

手をつないでの「だるまさんがころんだ」を成功させ、長瀞小児童らと喜ぶ池田さん(右から3人目)

 夢を持つ力を信じよう。その思いから、スポーツ界が競技の枠を超えて結束し、東日本大震災で被災した子どもたちの支援活動を続けている。

<目標達成 実感>
 日本体育協会(日体協)などによる「スポーツこころのプロジェクト」。五輪代表やプロ選手らによる出前授業で困難を乗り越えて目標を達成した経験を伝え、将来に希望を抱いてもらう。実施回数は増加傾向にあり、スポーツを通じた健全育成への願いは被災地で共感を呼んでいる。
 「夢は自分を成長させ、前に進む力をくれます」。フェンシング女子で2004年アテネ、08年北京両五輪に出場した池田めぐみさん(37)=南陽市出身=は子どもたちに語り掛けた。14日、宮城県亘理町長瀞小(児童190人)で開かれた「笑顔の教室」。津波で壊れ、再建された校舎の真新しい教室で5年生36人と向き合い、大けがを乗り越え2度の五輪出場を果たした経験を伝えた。
 体を動かし、目標達成を実感する遊びも体育館で行った。全員が手をつないでの「だるまさんがころんだ」で、静止できずに失敗が続く子どもたち。池田さんの「どうしたら成功するかな」という問いに応え、息を合わせて成功させた。
 授業を受けた児童らは「五輪のバドミントンで金メダルを取る」「パティシエになりたい」など、生き生きとした表情で将来の夢を発表した。池田さんは「夢を持つことが、被災したつらさや悲しみを受け入れて前に進む力になってほしい」と希望を託した。

<20年まで延長>
 プロジェクトは震災直後の2011年5月にスタート。日本サッカー協会(JFA)が07年から取り組むスポーツ選手らの訪問教室「JFAこころのプロジェクト」をモデルに、JFAと日体協、日本オリンピック委員会、日本トップリーグ連携機構が共同で実施している。年間の運営費1億5000万円はサッカーくじの助成で賄う。
 対象は津波被害のあった青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉6県の計55自治体の小学校。開催数は11年度の155回から15年度の549回まで拡大した。累計で303人が講師役を務め、参加児童は約5万5000人。本年度から特に被害の大きかった岩手、宮城、福島各県の中学校も新たに対象に加え、約560回まで増える見込みだ。
 プロジェクト運営本部のマネジメントリーダー山下恵太さん(47)は「夢を成し遂げた幅広い分野のスポーツ選手の体験に触れる貴重な機会として、多くの学校に受け入れられているのだと思う」と話す。
 当初は今年3月末まで5年の予定だったが、「子どもの心はすぐに回復しない」(山下さん)と20年まで5年間延長した。年明けには、熊本地震の被災自治体でもJFAが単独で活動を始めるという。山下さんは「子どもたちを笑顔にする前例は、次に大規模災害があった時にも生かせるはず」と意義を語る。(原口靖志)


2016年12月22日木曜日


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