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<汚染廃棄物>試験焼却 農家に苦悩広がる

農家の敷地に置かれたままの基準値以下の汚染牧草=登米市内

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性廃棄物で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理を巡り、廃棄物を多く抱える登米市内の農家に困惑が広がる。「早く処理してほしい」と望む一方で、県が求める市内の施設での試験焼却については「焼却施設の近隣住民は困るだろう」と市民として複雑な気持ちものぞかせる。市は焼却するかどうか結論を出していない。
 市内の農業男性(62)は自宅敷地内に約75トンの基準以下の汚染牧草を保管する。「カラスがつついてロールのビニールが破れてきている。いつまでこの状態が続くのか」と嘆く。ただ、早期の焼却処理を希望する一方で、「焼却場の近隣住民の気持ちを考えると燃やしてくれとは言いにくい」と思い悩む。
 市内の指定廃棄物(8000ベクレル超)保管施設近くの農業男性(64)も「『基準以下』を処理しないと指定廃棄物のほうも進まない」と早期解決を求めるが、「自分たちが原因を作ったわけではない廃棄物の焼却に市民に抵抗があるのはよく分かる」と理解も示す。
 市内には、基準以下の廃棄物が約4700トン存在する。19日に市議会は、(1)「400ベクレル以下」は焼却処理とせず土壌や林地への還元で処理するべきだ(2)「400ベクレル超、8000ベクレル以下」も土壌還元に向けた調査研究を進めるべきだ−との提言書を布施孝尚市長に提出した。
 試験焼却について布施市長は「慎重な判断が必要だ」と述べ、土壌還元も選択肢の一つとして結論は出していない。このため、住民説明会などの開催は予定されていない。
 焼却場と最終処分場がある登米市豊里町の行政区長の一人は「私たちは焼却には絶対反対。燃やすにしろ燃やさないにしろ市は住民に説明すべきで、相談がないのはおかしい」と憤る。


2016年12月24日土曜日


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